悪夢の一夜
もりおはタクシーの運転手にお金を支払うとドアが開いたのでお礼を述べて外に出た
タクシーが走り去るのを確認すると辺りを見回した
辺りは静まり返り、電柱に設置してある電灯が明るく照らしていた
辺りを見回したが誰もいなかった
もりおの目の前には家があったが、このまま家の中に入っても大丈夫なのか本当に心配になっていた
もりおが数分、たっていると冷たい風が吹いて一瞬、ビクッと体を震わせた
恐怖心がもりおを包みこんでくる
もりおはしかたがないので玄関のを開けてインターホンを鳴らした
確かに先ほど鞍馬神社でお祓いはした
しかし、先程の運転手が見たと言う存在は本当に気のせいなのだろうか
運転手は言わなかったか
(すごい顔をした女と)
もりおは全身から汗を出して震えていた
歯と足がガタガタ震え出す
もりおはなぜ、自分がこんな目に会わなければいけないんだと本気で物凄く怒りを感じながら(アイツ、まさか今近くにいるんじやないだろうか、と思って少し涙を流してしまった
右手で涙を拭くと家のドアが開いて母親が出た
もりおの蒼白な顔を見ると母親は何があったんだろうと心配しながらもりおに言う
(あれ、どうしたの、もりお、仕事は)
もりおは吐き気を押さえながら言う
(ああっ、ちょとね、俺より早く他のやつがたくさん来たから俺は今日仕事出来なくて帰ってきた)
母親はもりおが何の嘘をついているのかわからなかったがとりあえずもりおが落ち着いて話してくれるのを待つために(そうなの、大変だったわね)
と言ってもりおを家に入れた
家の中に入るともりおは母親とリビングに行き、そこには父親がソファーにすわって、タバコを吸いながらコーヒーをゆっくりと飲んで、本を読んでいた
もりおを見ると父親は思わず絶句した
明らかにもりおの様子が変だからだ
父親はもりおに(早かったな、もりお)と言いつつ、冷静に対応しようと身構えた
もりおは空いている隣のソファーに座ると言う
(ああっ、今日はさ、なんかたくさんバイトの連中が来たから俺は上がってきた)と言って暗い顔をしながら座った
母親と父親は顔を見ながら何事か起きたのだなと考えてしばらく黙っていた
数分間黙っているともりおが口を開いて言った
(父さん、ニュースであの事件なんか進展あった)
父親は(そうだな、まだ、見てないや、ちょとニュース見て見るか)
父親はテーブルに置いてあったテレビのリモコンをつけてニュースを見た
母親が(いやね、この近くじゃない、本当に物騒よね)
と言いながらもりおに暖かくて美味しいコーヒーを入れて持ってきてくれた
もりお(ありがとう)と言いながらコーヒーを一口飲んだ
体が全身冷たかったので本当に美味しいコーヒーたなと思いながらゆっくりと飲んだ
ニュースではいろいろな話題がやっていたが、あの事件はまだやっていなかった
家族がゆっくりとしているともりおの父親が言う
(あっ、誰だろうな、インターホンなってるぞ)
と言う
母親は笑いながら言った
(なに、いってんのよ、貴方、インターホンなんてなってないじやない)
もりおの心臓は冷たくなり止まるかと思った
心臓の鼓動が早くなり、もりおの本能が最大の危険を感知していた