第15話 勇者の気落ち、落胆。涙……(1)
「だって、あなた~。私は、あなたの、母親。お母さんと言えば。お母さんにもなりますから。あなたが私の事をお母さんだと呼んでも全く問題は無いですし。私自身も違和感を覚える事がないので大丈夫ですよ~」と。
エルさんは明るい声色で告げ説明を僕へとしてくれたのだ。……だけではない。
「でも~、あなた~?」
「ん? 何? エルさん?」
「私はあなたの妻なのですから~。度々『母さん』と呼ばれるのは。やはり嫌ですから~。私の事はできるだけ「エル」と、名指しで呼んでくれる方が嬉しい。嬉しいです。あなた~」と。
エルさんは己の身体を更に曲げながら。僕の顔──。頬や額、耳や首筋、唇へとキスの雨嵐を降り注ぎ、甘えながら説明をしてくれたのだが。
やはり僕には、エルさんの、言っている。おこなった。一度他界した僕を、あの世から蘇らせた【蘇生魔法】の原理や意味……。
それと何故僕がエルさんのことを、『お母さん』と、呼もいい。よろしいのか意味がわからないから。僕は再度彼女へと訪ねてみることのしたのだ。