第4話 アイカの不満(20)
それにさ? この戦は元々、というか。本来は?
只今、他人が傍から、遠目から凝視しても、二国の男王である健太への忠義、義の無い離反的──少年王を侮り、蔑んでいるいい加減な戯言、戯れた行為を二人──。
此の国の女王アイカとウォンはしている。と、いうか? 相変わらず二人は凝りもしないで、少年王の目の届かぬ位置、場所で、彼の目を盗み、盗んで。不倫行為、NTRをされている。しているしか見えない行為をおこなっている。されている最中で、己の紅玉の瞳を濡らしながら。己の紅玉の瞳に映らない健太(主)への言い訳らしい台詞を漏らしながら。自分自身に優しく、ではないか? 今、只今の女王専属の騎士(ナイト)であるウォンは……。
まあ、彼は女王アイカ。元己の妻にも等しい女性(ひと)へと強引に迫り。自分自身に心身ともに身を預け。預けろ。そしてもう一やり直そう。やりなおすのだと迫る。
だから此の国の女王アイカは困っている。困っていると言いたいところではあるのだが。本当に彼女が先程、今の今、己の唇──。ウォンに濡らされた唇から、彼のことを拒否──。嫌だから離れてくれとせがむ、嘆願をする。下知もくだした。
でも?
それでも?
此の国の女王アイカの専属騎士(ナイト)が自分から離れないのは、彼女に隙がある。あるからだと思う。
でないと? ウォン自身も、ここまで粘り強く話し。彼女へと説得を試みだりしないと思う。思われると。女王アイカを遠目から凝視しながら思うのだ。