第31話 いざ40階層台へ!
10階層までの限定とはいえ、マルクたち『金の匙』とパーティを組むことになった俺たちは、
降り立った49階層。
やはり50階層とは段違いだ。空気までもが禍々しく着色されていると視覚が錯覚をおこすほどの瘴気と、鳴り止むことがない
このハラムディンでは10階層分降りるごとに急激に死臭が濃くなって、えも言われぬ絶望感に押し潰されそうになる。
この40階層は今までの
「この40階層台はな、草木が多く視界が悪い。死角となって
「この
階段前の視界には、早くも分起点。綺麗に道が、二つに分かれていた。
「いや、反対の道を行こう。距離的にはエリシュの言うルートが最短距離だが、そっちは通路が広く、大型の強い
「そうなのね。分かったわマルク」
「それにしても……全
言いかけた言葉を飲み込んで、先頭のマルクは臆することなく、手にしたランプで闇を切り裂き進んでいく。
俺たちの役割分担ははっきりと決められていた。
俺とマルクの二人で前衛を務める。後衛はアルベートとクリスティ、そしてその中央にエリシュという陣形だ。
高レベル、しかも多岐に渡り魔法を使えるエリシュを軸としたこの陣形はバランスがよい。
さらに前衛の俺とマルクの相性もよかった。
マルクは
同じ前衛と言っても違う間合いで戦えるのは、攻撃の幅が広がるだけでなく、互いに邪魔にならなくて
後衛の二人は、アルベートは長剣を、クリスティは短めの剣を両手に持った剣士タイプ。
二人の実力は定かではないが、だだ広い場所でない限り、後ろから奇襲されることは極端に少ない。即死レベルの攻撃をいきなり喰らわなければ、エリシュの魔法支援でなんとかなるだろう。
全員が
「……待て! 全員そのまま動くな」
木の幹に身を隠すようにして、マルクが警鐘を鳴らす。
あとちょっとで乗り越えるられる高さまで登っていた俺は、そろりと顔を出した。
体毛に覆われた全身と、猿を連想させる容姿の
「……オクトパスデーモン。ランクAの
———ちっ! いきなりランクAかよっ!
「……49階層に降り立ったばかりで、いきなりランクAの
相手は一匹だし、今の俺たちの戦力なら勝てない相手ではない。マルクはそう判断したのだろう。
チームのリーダーを自ら買って出たのはマルク本人。だけどチームの進退を独断で決めないで、最前線で戦うことになる俺の意向も聞こうとしている。やっぱりマルクは信用できるヤツだ。
「オクトパスデーモンって……確か『森主の爪』ってレアアイテムをドロップする
そう言いながらアルベートが大木に手をかけて体を持ち上げ、次にその手が滑って尻から落ち、大きな墜落音を叩き出すまで、僅か数秒の出来事だった。
俺とマルクは呆気に取られ、その後額にぺちりと手を打ち当てた。
当然、オクトパスデーモンがこちらに気づいたのは、言うまでもない。