第6話 戦いの行方は
『グァギャアアアアアアアアアアアアアアアアア!』
悶絶の悲鳴が通路を抜け、木霊となって
あちこちが軋んで痛む体を振り向かせると、長い通路の終着点——俺が辿ってきた曲がり角付近に、しなやかな細い指を広げ左手を
「エリシュ……お前どうして……」
「いいから早く! 今のうちに後退して! この
痛切を織り交ぜた声音とその気迫にあてられて、俺は身を投げ出すように———正しくはよろけて数歩後退りして倒れ込んだだけなのだが———後退する。
俺が通路の端に横たわることで出来た、
「獰猛な赤の精霊たちよ、我が力となり
不意を突かれた魔法攻撃に天を見上げ荒れ狂う
爆炎を盾にして距離を詰めたエリシュの奇襲は、非の打ち所がないくらい綺麗に決まった。
『ギャアアアアオオオオアアアアアアアアアアアアァァァ!』
断末魔にも似た耳を
いくら硬質な皮膚で覆われていようと、同じ箇所に強大な連続攻撃を受けて軽傷で済んだら、こちらの立つ瀬がない。
案の定、
たたらを踏み二歩三歩と後退りする
『……グッ……オオ……』
動きを止めた
エリシュはレイピアを頭上に掲げ大きく一振り。緑色の液体を刀身から振り払うと、無駄のない所作で鞘に納めながら、ゆっくりと俺に近づいてきた。
「そんな
だらしなく体を横たえる俺の半身を持ち上げると、エリシュは俺の胸にそっと手を乗せる。
「慈悲深い緑の精霊たちよ、手負いの者に癒しの力を」
エリシュの手のひらから、優しい光が俺の体の隅々にまで流れ込む。次第に痛みが和らいでいき、自力で体を支えるくらいまで力が漲ってきた。
「これが魔法の力ってヤツなのか……すげえな。エリシュ、すまねぇ」
剣を杖代わりによっこらしょ、と体を立てる。右手を握っては広げ、自分の力の回復具合を慎重に確かめる。
打撲の痛みがまだ残ってるものの、裂傷の血は止まり、骨も筋もしっかり繋がっているようだ。
(腕も足もしっかりと動く。……よし、大丈夫だ!)
そして玲奈への情愛も断ち切れちゃいない。この鋼の想いはどんな攻撃に晒されたって、両断することは不可能なのだから。
「ありがとうエリシュ! じゃ、またな!」
片手を上げてエリシュにお礼のポージング。
と、同時に足はすでに踵を返している。
俺は