第14話 何が何やら?(7)
解放してくれないどころか? 僕が自身の口から。
「あっ! い、痛い……」と、声を漏らせばね。
「えっ? ごめんね、痛かった? あなた? 本当に御免なさい~。御免なさい~」と、エルさんは呟きながら。
僕のオデコを優しく。労りながら。『ナデナデ』と、撫でてくれたのだ。彼女の宇宙人だととても見えないような細くて華奢な腕と掌と指でね……。
そう、まるで、母親が己の子供……。怪我をした幼子に対して優しく労りながら。御機嫌伺いをするかのように接してくれるのだ。
だから僕は、己の口からこんな台詞をついつい漏らしてしまう。
「あああ、ああ~。気持ちがいい~。気持ちがいいよ。母さん~」とね。
と、なれば僕? 言葉を漏らす。終えると『ハッ!』だよ。思わずと、いうか? 直ぐに我に返って。
「えっ? いや、今のはね。エルさん。誤解というか? な、何か変な言葉というか? エルさん。君のことを『母さん』って、呼んで御免。本当に申し訳ない。すいません……」と。
僕は慌てふためきながら彼女へと謝罪。謝罪をしたのだ。