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休息2

 案内された部屋には、エプロンドレスを着た二人の女性が待ち構えていた。

 まるで鏡写しの様にそっくりな二人は恐らく双子。
 ここは私の国での王城に相当する場所だろう。

 であればそこで働く侍女も貴族階級の人に違いない。きっと国での地位は私よりも上。
「まあまあ、よくいらっしゃいました、乙女」
「これはこれは、また磨きがいのあるダイヤの原石ですわ姉さま」
「そうね、妹」

 泣き黒子のある方が姉で、口元に黒子がある方が妹らしい。

「私達は乙女のお世話をさせていただく、メアリと申します」
「シェアリと申します」
「「何なりとご用をお申し付けくださいませ」」

 息がぴったりの二人に思わずたじろぐ。
 この国では名前を名乗らない方がいいってマクスウェルが言っていたのに二人は当たり前の様に名を伝えた。

「名前……」
「乙女への忠誠の証としてお受け取りください」

 二人はニッコリと綺麗な笑顔を浮かべた。
 忠誠と言うのは主君に対して誓うものだ。自分より低位のものに対して誓うものではない。

 この二人何を言っているのだろう。

「“約束の乙女”はこの国では国主と同じ地位をお持ちです」

 メアリが笑顔を浮かべたまま言い切る。

「まずは、湯あみをしてさっぱりとしていただいて、それからお食事をとるというのはいかがでしょうか?」

 シェアリがそう提案してくれた。
 状況はよく分からない。この国の事も。
 けれど、私がいまものすごく疲れてしまっていることも事実だった。
 今日だけでも色々なことがあった。

「では、それでお願いいたします」

 食事の際に少しだけこの国について、約束の乙女について聞かなければならないと思った。



 湯あみのために用意された浴槽にはバラの花びらが浮かんでいて、花園の様な香りが充満していた。
 なにかオイルが入ってるのかもしれない。花園よりもまだ濃い花のうっとりするような香りがした。

 この竜の国にも花園があるのかと少しだけ安心する。
 調度品も少しばかり文化が違う様に見えるが、そこまで大きな違いは無い。

 同じように空があり川が流れ花が咲いているのかもしれない。

 シェアリが私のドレスを脱がし沐浴用の薄絹をまとわせてくれるそのままバスタブにつかる。
 足先からジワリと温かさが体に広がっていく。

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