周辺散策2〜ゴブリン討伐作戦・序〜
僕らは近くにあった洞窟に避難した。
「奴らは頭が弱いんだ。」
「それって頭が悪いって意味か?」
高野が不機嫌な顔で聞いてきた。
「待て、妙月君、まず、なんで君はそんなことを知っているんだ?」
「説明は後だ、時間がない、ここもいつ見つけられるか分からないんだぞ?」
奴らは見つけた獲物は徹底的に探す習性がある。直にここも見つかるだろう。
なら逆にここを利用すればいい。暗い洞窟だと奴らの視力と知力じゃまず警戒はしないだろう。
「奴らの頭はとても脆い、そうだな…全力でこのぐらいの石を頭にぶつけただけでも死ぬ。」
「…… 」
「風船ぐらいの強度だよ見ただろ?脳みそだけ透けてたのを、あの透明な膜さえ破れば僕らの勝ちなんだ。人間で言う頭蓋骨の損傷ぐらいのダメージを奴らは負う。」
「すまない…1人でやってくれ。」
「え?」
「僕らは生きて帰らないといけない、負傷者も1人だ。ゴブリンがいると分かっただけでも十分な成果なんだよ。あのような知的生命体が生きれるという証拠を掴んだ。もう十分だ。倒す必要はない。」
だめなんだ…奴らは匂いを追う…学校にゴブリンが侵入したらそれこそ混乱に陥る。
「分かった。」
「そうだよ、妙月君帰るんだ。」
委員長が立ち上がりみんなに帰ろうと促す。
「僕だけやるよ。」
「えっ、」
「奴らはここで殺しておかないと大変なことになる。」
「分かった…健闘を祈るよ……行こう。」
委員長はそう言うと今度こそ去っていった。
「さて…材料集めだ。」
僕の手はなぜか震えていた。