第13話 謝罪(3)
まあ、ぬけぬけと、この男だけは……。
と、いっても?
私の乙女、純情を奪った。
それも、強引に……力づくという奴で、男らしく勇者の私から奪い。己の物、妃、妻にしたのならば未だ良い。良いのだよ。
私自身も敗退者になる。また立場だから。私の産まれ育った国の古い色恋物語のように、魔王に負けた。敗退をした健気な、勇者やナイト、戦士などが。異性の魔王に強引な凌辱行為を受けされ続けているうちに、本当の恋に目覚め、魔王に溺れ、子を宿す。宿して、生涯仲慎ましく暮らしていく恋色物語のような出来事ならば、勇者である私も致し方がない。諦めるか……。
そして魔王。いや、己の新たな主に可愛がってもらう。もらっていくために、女性らしく身心共に尽くし奉公をしよう。続けようと心に決め、魔王へと平伏──。彼に平伏そうと思うのだが。
まあ、私の魔王、主、旦那さまは、こんな感じ。感じなのだよ。
だから、うう、うう、歯痒い。歯痒くて仕方がない。
私の魔王は勇者の私を完全に打倒した訳ではなく。
私が睡眠、熟睡をしている最中に。私の乙女と純血を奪い。己の物にした卑怯千万の漢……だけならばいいのだが。
この通り、自分自身が私にした悪態行為は、全部私の夢幻であり。誤解だと言い訳……。