第13話 謝罪(1)
「本当にすいません。すいません。家のひとには妻である私の方からもちゃんと叱り。言い聞かせておきますから。本当に申し訳ございません……」と。
何度も謝罪をした。したのだ。元勇者の私はね……。
だって近所の人達……。
そう、この世界……。
私が産まれ育った世界と国、とは違う。日本と呼ばれる国の人達が普通に暮らす居住地、屋敷、アパートと呼ばれる集合住宅に住む、私と夫以外の住居人達が、私の絶叫を聞き、声が煩いと不満を告げる。述べるために、次から次へと押し寄せてくるから。
裸体であった私は、家のひと、魔王が所持する衣服を慌てふためきながら着衣──。
そして、玄関先で、未だ目を覚ましてくれぬ魔王の代わりに妻として、夫の代わりに対応──。謝罪をしたのだ。
「すいません」、
「すいませんでした」、
「ごめんなさい」と。
勇者エルが、たかが平民風情へと平伏するように、次から次へと謝罪をおこなったのだよ。
と、言ったところで。
『何故、貴女は、この異世界日本の諸事情……。社会の仕組み、生活習慣が瞬時にわかる。理解ができたのだ?』と。
皆は不思議に思う事間違いないと思う?
う~ん、実はね?
と、いうか?
私自身も恥ずかしいから簡易的にしか説明をできないけれど。