第12話 誤解?(9)
やっと……。
そう、家のひと、魔王の口からね。絶叫、許しを乞う台詞と言葉だけではなく。罪を償う。責任を取る。
この勇者であったエルのことを妃として向かい入れるから許して欲しいと告げてきたのだ。
家のひとは、断末魔と共に……。
ん? あれ? 断末魔ってどう言うことなの?
私は魔王、家のひとの断末魔らしき台詞と言葉も交じって聞こえたような気がしたのだ。
だから私は、「あれ?」っと、驚嘆を漏らしたのだが。時はもう既に遅い。遅いのだ。
そう、私の驚嘆が漏れ終われば、家のひとからの絶叫と嘆願──。
そして妃である私への抵抗、大暴れ、抗う行為がピタリと止み──。
〈グギッ!〉
〈コテン〉と。
鈍い音が聞こえてきたのだ。
でッ、その後は、『だらり』、『だらり~』なの、家のひと、魔王はね!
そう、家のひとは、自身の身体の力が抜けて、気、気力、魔力、身体の力も完全に抜けきり。廃人状態……。状態なのだ。
う~ん、どうやら? 私の魔王、夫は……。
た、他界……。
他界をしたようなのだ。
だから私は絶叫──。
それも? 後で、『近所迷惑だ! 静かにしろ!』、『いい加減にしろ!』、『御宅? そんな大声で夫婦喧嘩をしてもらうと、本当に困る。困るよ。近所迷惑だから。以後しないように』と。
御近所様達から不満の訴えをされるほど、大きな声で。
「あなたぁあああ~。あなたぁあああ~。起きて! 起きてぇえええ~!」と。
家のひとの身体を揺すりながら起こし。絶叫をする。上げる。
元勇者で新妻の上に、もう既に早くも、未亡人になりかねない状態へと陥っている。
私で御座います……。
◇◇◇◇◇