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竜の国3

 通された小部屋で腰を下ろす様に言われる。
 この構造は知っている。

 私の国と同じだ。この部屋の横に恐らく謁見の間がある。
 城同士が繋がって隣り合っている。

 だから地の国は隣の国なのかもしれない。
 実際、この国がどこにあるのかは分からない。そういうことを調べる魔法があることは知っているけれど、私の場合それ以前の問題がある。

 この国の貴族の派閥も何も分からない。

「名前を気軽に名乗ったりしてはいけない。以外のこの国のマナーはありますか?」

 本当は服を整えた方がいいのかもしれないし紙を整えた方がいいのかもしれない。
 けれどなんの道具も無い。
 結局旅支度は何も持ってはこれ無かった。

 せめて、失礼の無いようにと思う。
 これから、誰に会って私がどうなるのかは分からない。

 死罪を突然言い渡されるかもしれない。
 それすらも分からないのに、のんきな質問なのかもしれない。

 事実金色の瞳の人は少し驚いた様な表情をしていた。
 多分私がした方がよかった質問はここで殺されるか否かの方だったのかもしれない。

 けれど、それを今聞いてどうなるのだろう。
 ここで逃げだす事で預言が成就できなかったらとどうしても考えてしまう。

 だから、逃げ出すという選択肢は無い。そのため、これから何をされるのかを聞いても意味がない。
 
「名前をご自分からお聞きになることもあまり一般的ではありません。
それから、少しばかりあなたの国の人間とは見た目の違う者もおりますが、殊更驚きませんように」

 見た目が違う。態とぼかすように言われた言葉の意味が分からなかった。
 金色の瞳は珍しい。そういう人が多いということだろうか。

 それとも、もっと違う見た目の差があるのだろうか。
 貴族としていつでも微笑めるように練習をしてきた。その淑女としての仮面が試されるというだけだ。

「分かりました。驚かぬ様にいたします」

 そう答えた後、金色の瞳の人は面白そうな笑みを浮かべた。

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