57章 ミライは大満足
ミライはお腹がいっぱいになったのか、肉を食べる手が完全にストップした。
「とてもおいしかったです。本当にありがとうございました」
満足そうな表情を見ると、こちらまで笑顔になった。
「アカネさんの生活は、庶民とは全然違いますね。私の想像の遥か上をいっています」
「精神的に疲れる仕事ばっかりなので、無性に食べたくなるときがあるんだよね」
「『セカンド牛+++++』、『セカンド鶏+++++』をあんなに食べられるのはすごいで
す」
「お金だけはたっぷりあるからね」
仕事に時間をとられるため、スローライフに使える時間は少なめだ。アカネはそのことに不満を持っている。
「裏世界の探索をするといっていましたね。あれはどうなったんですか?」
「仕事は終わったよ。なかなか大変だった」
「裏世界の住民から、攻撃を受けたんですか?」
「うん。いきなり攻撃を仕掛けられた」
「よく生きていましたね。普通の人間は瞬殺ですよ」
「絶対防御のスキルがあるからね。どんな攻撃も受け付けないんだ」
アカネはどんな攻撃を受けても、ダメージは0である。裏世界の住民がどんなに優れていたと
しても、負けることはあり得ない。
「こんなことを聞いてはいけないんでしょうけど、報酬はどれくらいですか?」
「4000億ゴールドくらいだよ。命がけだったし、これくらいはもらわないとね」
「4000憶ゴールドはすごいですね。私には想像もつきません。私は24時間働いても、2万ゴール
ドくらいにしかなりません」
大校生時代のアルバイトを思い出す。あの頃はどんなに働いても、お金は増えなかった。庶民は安い給料でこき使われるのが、社会の掟なのである。
「アカネさんくらいのお金があったら、やりたいことをやってみたいですね」
お金をたくさん稼ぐ=自分の自由時間を奪われることになる。どんな大金を持っていたとして
も、使用できる時間がなければお飾りになるだけ。お金は店で物に変換しなければ、ただの紙切
れと同じだ。