第7話 何故か? 鋼の甲冑を身に纏う女性の介護を始めます(2)
僕は思案の最中なのだ。だってさ? 今の若者達。そう、この令和時代を生き、過ごす人達にはわかりづらい。わからない。今のこの令和の時代が余りに便利、何処にでもかしこにでも。そう、こんな中国山地の山奥であろうとも。至る所に各メーカーの飲料水の自動販売機や、少し開けた町ならば二十四時間営業しているコンビニエンスストアもある便利な時代とは違い。昭和の時代。
それがもう十年や十数年で終わり。長い。長かった動乱の昭和期。時代の終焉がくる。近づいているとしても。
この頃の時代。昭和期の飲料水の自動販売機には、水の販売。
そう、今や、飲料水の自動販売機の定番、必須アイテムであるミネラルウオーターを自動販売機に設置。導入。入れている飲料水の自動販売機は、今の年齢を重ね、五十歳を当に過ぎた僕の遠いい。懐かしい記憶を手繰り寄せても一つあるか、ないか、の時代だった思う。
それも、街中でのことだよ。
と、なれば?
こんな山奥。真面に街灯すらない昇りくだりが続く。ひとけ。漆黒の闇に覆われれば、人が行き交わなくなるような道路の脇の飲料水の自動販売機に、『水を買う』、水を気軽に購入をするような文化。海外のような文化が未だ浸透していない日本。それも中国山地の山奥、過疎化の進んだ町にある筈はない。ないのだよ。
だから僕は、「う~ん、何を? 何を購入しようか? 彼女の為に……。彼女、水、水……と、呟いていたのだけれど。この自動販売機には水がない。水の売り。販売がない。ないからどうしよう?」と。
僕は困惑しながら思案を続ける。続けている。