第6話 何故、物の怪でもないのに鋼の甲冑を身に纏う?(1)
「えっ、ど、どう言うこと? どう言うことなの?」と。
僕は驚愕。驚嘆まで漏らす。
だってさ、僕の背後へと迫りきた鎧武者仕様の物の怪なのだが。物の怪だと思っていた物が。実は物の怪ではないのかも知れないのだよ。
僕の膝に頭を起き、「ハァ~、ハァ~」と、荒らしく息。息遣いをして、大変に苦しく、悲痛な様子でいる鎧武者の物の怪さまがね。
だってさ、彼女? ここは日本、和の国。
それも? 安芸の国、中国地方の覇者となった毛利家百二十万石の両川の一つ吉川元春公のお城や館が近い地域、町だから。鎧武者の物の怪が出る。お化けとして『うらめしや~』と、出るならば。
和式の鎧兜を身に纏い。日本刀若しくは、槍を持参していなければ。と、いうか? 持参、持ち、握っている筈なのに。
この鎧武者。と、いうか?
僕の膝に頭を起き、「はぁ~、はぁ~」と今でも荒々しく、悲痛、苦しそうに息遣いをしている女性だと思われる物の怪さまは、和式ではなく。洋式の鋼で出来た甲冑。それも白地の上に、辺りが薄暗い。漆黒の闇に覆われた状態だから。