第5話 真冬の怪奇?(1)
〈ガシャン!〉
〈ガシャン!〉
〈ガサガサ〉
〈ガシャン〉
〈ガシャン……〉
……ん?あれ? 今迄は、木枯らしと言う奴だろうか? その寒く冷たい。乾燥をした風の為に、草木が揺れる音だけが、この漆黒の闇の中──。空間にしていただけだった筈なのに。
今何かしら? 金属的な物が擦れ、だけではない。
何かしら金属の物を引きずる鈍い音が、木枯らしの為に生じる風の音と共に、混ざり合って、作業の最中の僕の耳へと聞こえてきたような気がするのだが?
僕の気のせい。迷いなのだろうか?
僕はこんなことを、己の脳裏で思いながら出店の片付け、作業を続けているのだ。
「多分? 僕の気のせい。気のせいだよ」
と、独り言をボソボソ呟きながら作業をする。続ける。自分自身に言い聞かせるように独り言を呟きながら黙々と作業をこなしていくのだ。