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第1話 ちょっと長い前置きは、ある日の夜 (3)

 まあ、僕は、己の脳裏でこんなこと、農協の購買部の所長さんの労いを聞き、ありがたや。ありがたや。と、思いながら。漆黒の闇の中──作業を始めだすのだ。

 僕の周りにある唯一の光といえば、購買部の店舗の店頭にある、数台の自動販売機から漏れる光りしかない状態なのに。

 僕はその少ない灯火の光りだけを頼りにしながら作業の続き──僕が今日この農協の購買部の店先──店頭に並べていた商品を空き箱に丁寧に入れ詰めていく作業を始めだす。

 でッ、詰め終えたら。僕の愛車──仕事のパートナーであるマツダのボンゴのロングエアロカスタムバージョン仕様へと商品を。これまた丁寧に一つずつ載せ、最後にベニヤ板──。販売用の台として使用していた物を載せて──帰宅の途に就く作業を終わらせないといけない。

 それも? 手際よく、素早くおこなわないといけないのだ。

 だって? 僕の口元──呼吸をしている様子を凝視すればわかる通りで息が白い。

 そう、僕の呼吸をする時の吐く息が白いでしょう? ッて。今の時期季節を思案したら当たり前と言えば当たり前なのだが。

 今の時期、季節は十二月の初めの冬と呼ばれる季節だから大変に寒いし、冷たいのだ。

 だって? 夕日が沈み込んで、未だそれほど時間……。



 時の方も未だ余り経っていないのにも関わらず僕の腕、掌、頬、耳が冷たい。……どころではない。ないのだ。

 もうね? チクチク痛くて仕方がない。冷たさの余りにね……。

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