22章 念願のスローライフ2
「夕食を食べようかな」
食べなくとも生きられるスキルを所持しているものの、何かを口にしたい気分だった。食べるというのは、人間の最大の権利なのである。
この日のために、「セカンド牛+++++」、「セカンド鶏+++++」を300グラム購入。ダンジョンで得たお金を、食事代にわりふることにした。自分に御褒美を与えることで、生きる活力をみいだすことができる。
フライパンの上に肉を乗せた直後だった。プライパンが自動で調理を始める。アカネはどうなっていくのかを見たいので、静観することにした。
フライパンが肉をひっくり返すと、理想としている色に焼き上がっていた。アカネがどれくらいの焼き加減を好みとしているのかを、あらかじめ熟知しているようだ。
肉が焼き上がったので、皿に盛ることにした。見るからにおいしそうな色をしており、食欲を大いにそそられた。
ナイフで切り口を入れると、溢れんばかりの肉汁。あらかじめ、水の塊を詰め込んでいたかのようだ。
アカネは焼きたての肉を口に運ぶ。
「おいしい。最高」
宿屋で口にした「セカンド牛+++」が、かすむほどのおいしさだった。ランクが一つ上がると、おいしさは一〇倍以上にはねあがる。
高級肉は一度きりにしようと思っていたものの、「セカンド牛+++++」の虜になってしまった。お金に余裕があるなら、積極的に「セカンド牛+++++」を購入していこう。
「セカンド牛+++++」の次は、「オレンジ+++++」、「バナナ+++++」を口にする。いずれもみずみずしくて、ほっぺたが落ちてしまった。肉と同じで、最高ランクとなっているようだ。
最後は「パン+++++」。パンとは思えないほどの香ばしさでありながら、ふんわりとした優しさもある。パンとは異なる食べ物を食べているかのようだった。
アカネはご飯を食べ終えると、食器を台所に置いた。
食器洗いは明日でいいかな、と思った矢先だった。食器洗浄機が勝手に皿などを洗い始めた。
「セカンドライフの街」では、食器を置くだけで自動で洗ってくれるのか。面倒な作業を省けるのは、非常にありがたい。