19章 ダンジョンクリア
アカネはあっという間に100階にたどり着いた。ダンジョン探索というのは、想像以上に簡単な作業だった。
ダンジョン探索を簡単にしているのは、「こうげきむこう」、「いじょうじょうたいむこう」、「わなかんぜんむこう」のスキルだ。敵からの攻撃を受け付けない、トラップを回避できるため、かすり傷一つ負わなかった。
絶対防御に隠れがちだけど、高い攻撃力も見逃せない。全ての敵を一撃で葬る威力は、レベル95であるのを感じさせた。
各階に設置されている宝箱はもれなく回収。予想以上にゴールドが多く、アカネの懐は大いに潤うこととなった。家建て名人に払ったお金以上のゴールドを得ることとなった。
敵についても、一体残らず倒していった。金額はさほどではなかったものの、積み重ねたことでかなりの金額となった。
玉座らしきところに、強そうなボスが立っている。これを倒せば、ダンジョン探索は終了となると思われる。
狼の左右には、10個ずつの宝箱が置かれていた。アカネは回収するために、宝箱の方に向かっていく。
宝箱を回収しようとすると、地面に大きな穴が開くこととなった。どうやら、落とし穴が仕掛けられているようだ。
「アカネは落とし穴を回避した」
落とし穴を回避できる能力もあるのか。「わなかんぜんむこう」はあらゆるものに、適用されるスキルのようだ。
左の宝箱をすべて回収。中身は以下の通りだった。
「100000ゴールドを獲得」
「エリクサーを10個入手した」
「エクスカリバーをゲットした」
「えいゆうのたてをゲットした」
「30000ゴールドをゲットした」
「からっぽ」
「毒ガス(アカネのスキルで無効化)」
「20000ゴールドをゲットした」
「からっぽ」
「毒矢(アカネのスキルで無効化)」
右の宝箱ももれなく回収。左の宝箱よりも、金額がかなり多くなった分、罠も仕掛けられていた。左と比較すると、ハイリスクハイリターンだった。
100階には石像があった。こちらには誰の名前も刻まれていなかった。50階までたどり着けた
「マツムラ リョウスケ」は、100階まで到達することはできなかったようだ。
アカネが石像に触れると、「サイトウアカネ」の名前が刻み込まれることとなった。一人目の到達とあって、感慨深いものがあった。
ボスは狼、猪を足して2で割ったような表情をしていた。
見た目は強そうだけど、実際はどうなのだろうか。実際はハリボテというのはよくあるパターンだ。
「アカネ」は「こうげき」を選択する。一撃でどれくらいのダメージを与えられるのだろうか。
アカネの攻撃はボスの急所をとらえたのか、999999990と表示された。
「ボスを倒した」
ダンジョンのボスを一撃で撃破できるなんて。レベル95というのは、人間離れした能力をしている。
「2億ゴールドを入手した」
元々のリスクが高いだけあって、金額はかなりのものだった。ダンジョンの狼らしき生物を一度倒せば、100年は余裕で生活できる。
他の人にもダンジョンを進めたいけど、住民の平均レベルは5。途中で倒れる可能性が非常に高いので、クリアは難しいのではなかろうか。アカネのように無限復活のスキルを所持していないので、永久的な眠りにつくことになる。