18章 ダンジョン探索の続き
50階にたどりついた。ダンジョンは100階までなので、中間点までやってきたことになる。
アカネの戦闘能力がすごすぎるのか、遭遇した敵はすべて一撃だった。あまりにも弱すぎるので、拍子抜けするレベルだった。
ダンジョンは10階ごとに、食料庫、水などを摂取できる場所があった。プレイヤーのおなかがすくのを想定して、ご飯や水分補給をできるようにしたようだ。
アカネは10階ごとに用意されている食事を堪能した。命がけの冒険をしているからか、セカンドライフの街で提供されたご飯の、数段上をいっていた。あまりのおいしさに、ご飯を60杯、肉を50枚、スープ40杯などを軽く平らげた。
普通の人間なら腹痛になるところだけど、アカネはなんともなかった。無尽蔵の胃袋が、食べ物を全て吸収している。
20階、40階には「アイテムかんきんコーナー」があった。アカネはこちらにおいて、必要のな
いアイテム、武器、防具などをすべて売却した。素のステータスが非常に高いため、アイテム、武器、防具といったアイテムは一切必要ない。
50階をうろついていると、野球ボールのような物体がうろついている。敵と思われるので、攻撃を仕掛けることにした。
「やきゅうボールは攻撃を回避した」
攻撃は回避されることもあるのか。100パーセントの確率で命中させていたため、絶対に命中させられるものだと思っていた。
「やきゅうボール」は、体当たり攻撃を仕掛けてきた。
「アカネはダメージを受けなかった」
「ぜったいぼうぎょ」のスキルがあるので、ダメージを受けることはない。攻撃を命中させれば、「やきゅうボール」を倒すことができる。
ダンジョンに潜ってから、攻撃魔法を使用したことはなかった。どれくらいの威力なのかを確かめるために、魔法を唱えることにした。
「炎よ、われに絶大な力を与えよ。ファイアーチャージ」
画面全体が炎に包まれたと、「やきゅうボール」は真っ黒こげとなった。
「2000ゴールドを得た」
ゴキブリみたいにすばしっこい敵であった場合、魔法を使えばいいのか。アカネの戦闘の引き出しが、一つ増えることとなった。
50階には石板らしきものがあった。位牌には一人の名前が記されていた。
「マツムラ リョウスケ」
この人物がどれくらいの能力なのかはわからないけど、50回までたどり着いたことは事実と思われる。生身の人間であったとしても、ここまでたどり着くことはできるようだ。
アカネが石像に軽く触れると、「サイトウアカネ」の名前が石像に記されることとなった。同時に「マツムラ リョウスケ」の名前は抹消されることとなった。石像に保存できる名前は、一つだけのようだ。
石像の横には、宝箱が置かれていた。アカネが開けると、「ダンジョンめいぶつ スライムのけっしょう」が入っていた。1階で撃破した、スライムが宝石になったかのようだった。