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傷つけた妻に謝罪し 反省の弁を述べても再犯す

 
挿絵

 夫のくり広げた話はすべて初耳だった。すなわち全部ホラ話である。私は毎日朝食を作って夫に食べさせようとしていたが、夫は絶対に起きなかったのだ。
「朝は一分でも長く寝ていたいんだ!」と起きない。「朝ごはんなんか作っても絶対食べないからな!」と断固拒絶し続けた。そしてとうとう「毎日ウザイから二度と朝ごはんなんか作るな!」と朝食作りを禁じてしまったのだ。
 だから私はその禁令に従い、夫の分の朝食は作らなくなっただけである。

 虚言を用いて妻を笑い者にするという彼の行動の動機は、自分がイイ気になるためだ。自分の新妻お披露目会で主役である新妻を陥れてでも、笑い者にしてでも、恥をかかせてでも、心を傷つけてでも、自分こそが主役・人気者になってイイ気になりたかったのだ。
 でも自分が叱られるのはイヤ、妻に冷たくされるのもイヤ、妻にはいつも笑顔で優しく接してほしい。だから、妻の機嫌を直すために「ごめんなさい! ごめんなさい! もうしません!」と必死で謝罪して反省の弁を述べる。だがしばらくするとまた同じ罪・同じ悪行をくり返す。
 だから婚姻期間中、私はずっとこう思っていたのだ。『夫の反省は全然長続きしない』と。だがそれは私の思い違いだった。夫はそもそも反省など一切してなかったのである。

しおり