調査{済}
ここはルドバ付近の森。ラザリオとルナソルは、ネフロス達が凍らされていた場所に来ていた。
ラザリオは、辺りを見渡し確認しながら歩いている。
「……なるほどな。戦っていたわりには、やけに辺りが小綺麗すぎる」
そう言いラザリオは、思考を巡らせていた。
「やはり、ガディス以外の者がここにいたのは間違いない。ルナソルが言ったように、ネフロス達をあらかじめ静止させたあと、ガディスが凍らせた可能性が高いな」
ルナソルは、ラザリオの後ろを歩いている。
「そうなのよね。ここまでの芸当ができる奴なんて、そうそういないと思うのよ」
「確かにな。だが、いないとは断言できない。異世界の者であれば、静止の能力か時間を止める能力を持つ者がいたとしてもおかしくはない」
「ラザリオ?異世界の者って……。まさか!他の世界の者が存在し、こっちに来てるっていうの?」
「その可能性は高い。これは四天王でも、ネフロスと俺だけが聞かされていた事なのだが」
そう言いラザリオは、龍の山里がある方角をみた。
「今回ドラフィルにある山里の封印ができたのは、異世界から来たと言っていた男の能力のおかげだ」
ラザリオは一呼吸おき、ルナソルをみると更に話し始める。
「最初は、誰もそいつの話を信じなかったが。そいつが山里の封印を成功させると、その者の存在を知る者は異世界の者だと信じた」
「そうだったのね。って事は、ここにガディスと異世界の者がいた。だからゴルボラは救援を呼び、ネフロスとラゴスはそこに駆けつ戦闘になった」
ルナソルは頭の中で、色々と整理していた。
「でもなぜ、ここにガディスと異世界の者がいたの?ゴルボラは確か、ここでドラゴナードの者を捕獲もしくは始末をする為、待機していたはず」
「ああ、確かにな。ルナソル。地面を見て何か気づかないか?」
「地面って?……こ、これは⁉︎」
ルナソルは、ラザリオに言われ地面を調べ始める。すると、数ヶ所ひび割れが確認され、その周りの草花が微かに焼け焦げていた。
そしてその周囲には、微量ながらも魔力が残っており容易くそれを感じ取る事ができた。
「ルナソル。ここにはガディスと異世界の者。そして恐らくは、ドラゴナードの者もいたかもしれんな」
「でも、ラザリオ。ドラゴナードの者がいたとしても。龍がいないと魔法は使えないんじゃないの?」
「ああ、確かにな。だがルナソル。お前も調べて感じたとは思うが。この微かな魔力の感じは、間違いなくドラゴナードのものだ」
「そうね。確かにこの魔力は……。でも、もしここにドラゴナードがいたとして、どうやって魔法を使ったっていうの?」
「ふぅ、どうやって魔法を使ったのか。それを、今から調べる必要があるな。だが、手取り早い方法でいくなら」
ラザリオは少し考えたあと微かに笑った。
「この件にドラゴナードの者が関わっていると分かっているなら、逃げ込みそうな場所は限られくる。しらみつぶしに、そこを調べて歩けばいいだけだ」
「確かに、その方が早いかもしれないわね。それに、探しながらの方が、なぜガディスがドラゴナードの者と一緒にいたのか。その事も自ずと分かるだろうし」
「ああ、そうだな。そうなると、この近辺でドラゴナードの者が立ち寄りそうな所というと……」
「ラザリオ。この近辺なら、あのユリナシアがいるエルラスタだけど……」
「……エルラスタか。前に一度だけ、探るために身分を偽りユリナシアに会った事があるが……。いい思い出がない」
「噂は聞いた事があるけど、私は会った事がないのよね。確か、かなりの変わり者の上、遊び好きと聞いてる」
「ああ、そうだな。そうなると、今からエルラスタに行き調べなければならない」
「ええ。だけど、今のこの状況で、エルラスタに侵入するのは難しいのでは?」
「確かにそうだな。さて、ではどうする?」
そして2人は、少しの間この場にとどまり作戦を練っていた。