二つの黒い場所
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真っ黒な空間に玉を見つめるシューと俺フゥクスの姿があり、その映像を見ていたシューは混乱していた。 そしてオフゥクスの方も首を少し傾けていた。
「ねぇ、心臓抉り出されて生きてるのはまだ分かる。分かるけどさ、何で三対一、しかも一人クリフォトで彼逃げれて生きてるの?」
「隠者の能力のせいか一度死んでいましたね、審判の能力を使って、心臓奪い返してすぐに蘇りましたが」
「死んだ後のラグが有るのは知ってたけど、数秒もないって、その間にぬいぐるみ出すなんて。ソレにアッチの世界と違って審判の能力自体、臓器とかに宿ってるんじゃなくて全身に宿ってる訳だし」
「隠者と審判の併合は凶悪ですね」
「何か弊害無かったっけ?」
「傷が治るよう意識しないと治らない程度しか聞いたことはありません」
「自分の怪我無頓着って思ってたけど案外気にしてるんだ彼……」
「恐らくいつ又使い物になるか程度では?」
「彼本当に人間? 只体力多いだけでしょ?」
「そうですね、多少痛みには慣れているようですが、少し異常です。 彼、クリフォト達で殺せますか?」
「殺すの難しいかも、ルターと会った時に使徒を送ってルターに彼の方を殺させるか、後は同時期にクリフォト達にも使徒一人ずつ送ろう。 最後の攻撃用に、調整したアレ」
「アレの調整ですか、分かりました。」
「出来たら言って」
「分かりました、しかし、ルーアはどうしますか?」
「サジーに任せるしかないね」
「コルにもその事を話しておきます」
「うん。そうして」
又別の黒い空間に冬華と先程戻された累が立っている。
「おかえり、コッチは何も無かった」
「何かゴタゴタしてんのかと思ったら特に何も無かったのか」
「で、入った感想は?」
「ここより散乱してた。後お前に似たような奴とマキナってのと不定形のが居た。後俺はもう入らないからな」
「分かった」
やけにあっさりだな
「じゃあいつ行こう」
「一週間以内じゃなければ良い」
ソレを聞くと冬華は小さな声で「…… なるほどね、最悪の」と言い一人納得した。
「? 独り言か?」
「うん」
「分かった」
「他には何かあった?」
今回起こった事を分かる範囲で話した。
「吸収に、同じ月が三つ、この世界にももしかしたら月の能力者が、いや、そもそも数すごく少ないから……」
「やっぱり三人しか居ないのか?」
「聞いた話だと累に全部入ってるって事しか。他には聞いてないからいないのかも」
「それじゃあ今日はこの辺で戻る」
「それじゃあゆっくり休んで」
ーー