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新たな島と巨大建造物

 フォレナーレから報告を受けた後、れいは今後の予定についてフォレナーレと話し合ってから早速用事を済ませ、その後は各所の管理を任せている管理補佐達を巡って報告を受けていく。
 それら全てが終わったところで、れいは植物の楽園へと向かう。ここに関してはまだ管理補佐に管理を任せていないので、れいが確認しに来なくてはならない。
 植物達は順調に生育しているようで、少し見ない間に中には見知らぬ植物も混じっていた。残念ながら果実を付けるタイプではなかったが、いつかそういう新種が生まれることだろう。
 そうして一通り見て回るも異常は無い。問題がなかったので、れいは植物の楽園を後にする。
「………………途中で蜂蜜が貰えるぐらいには育ったようですね」
 蜂の魔物が大きな巣を作っていたのだが、どうやらその蜂の魔物は知能が高かったようで、蜂蜜はその近くを通りかかったれいへと蜂の魔物が献上してきた品だった。
 蜂の巣がかなり大きかったので、巣の蜂蜜の一部でもかなりの量になった。れいと同じぐらいの大きさの瓶で保管しているが、後で小分けした方が使い勝手がいいだろう。
 味はかなり上質で、市場にでも流せば直ぐにでも高級品の仲間入りを果たすことだろう。
「………………蜂蜜飴でも作ってみましょうか?」
 場所を移動しながら、れいはそんなことを考える。しばらく考えた後で、海の只中で移動を止めた。
「………………この辺りでいいでしょう」
 周囲は海しかないその場所で、れいは小さな島を創造していく。小さな島と言っても、大国の都市の一つぐらいは問題なく収まるぐらいには広い。
「………………海に沈まないように高めにしておきますか」
 小島周辺の海域は非常に波が荒く、小島の端など直ぐに呑み込まれてしまいそうなほどであったので、小島を海面から高い場所にしていく。その結果、周辺が断崖絶壁の小島が誕生した。ついでに並み消しに岩礁で小島を囲むように配置しておく。
 その小島に下り立つと、れいはその中央に建物を設置する。それはかなり巨大な建物で、なんとその一軒で島全体を占領するほどだった。
 れいが設置した建物は、何処かで神殿としてでも使用されていたであろう建物。横幅よりも高さに重点が置かれて建設されたであろうその建物は、中央に巨大な塔が建ち、足下にはそれを支える、もしくは護るように城壁のような威容を誇る巨大な建物。
 その建物の四方には、巨人が使用しそうな巨大な階段が設けられていた。普通の人の場合はやや急なれど、横のスロープを使えば上れそうだ。
 階段から建物に入り、真っ直ぐ巨大な通路を進むと塔の中に入る。
 塔の中は吹き抜けで、中央には幾度も幾度も折れながら上へと続く巨大な階段が設置されている。途中で塔内部の各階にも行けるようになっていて、各階は何処も部屋数が少ない代わりにかなり広い。
 階段を上りきった頂上付近には一部屋だけが存在しており、そこには奥の方に祭壇のようなモノが設けられている。
 れいはそこにやってくると、周囲を見回す。
「………………設置場所に困っていた建物でしたが、これはこれで面白いかもしれませんね。灯台代わりにしてもいいですが、何か利用したいところです」
 高所の方にのぞき窓が設置されていたので、れいはそこから外の様子を確認してみる。かなり高い場所から見下ろせるので、景色はかなりいい。もっとも、周囲には海しかないのだが。
 そうして部屋の中を見て回った後、れいは奥に在る祭壇のような場所に上る。そこは周囲より高くなっているだけで、広いだけで何も置いていない。
「………………ここに何か設置予定だったのでしょうか? この建物は新しいようなので、完工直後に穴に落ちたのかもしれませんね」
 台座の上の広さは、途中にあった一部屋分ほどだろうか。普通の人であれば集団で寝起き出来そうな広さがあった。
 れいは少し考えた後に、倉庫の中に眠っていた椅子を設置してみる。神聖そうな場所に合わせて豪華な椅子にしてみたが、豪華すぎて逆に浮いていた。
「………………ここだと豪華さよりも荘厳さが欲しいですね」
 そういうわけで豪華な椅子を回収すると、今度は意匠は少ないながらも威厳を感じさせる巨大な椅子を設置してみる。
「………………こちらの方がマシですが、大きさはさておき少々厳ついでしょうか? これだと場所と併せて神でも座してるような感じになってしまいますし……いえ、場所としてはそれの方が正しいのでしょうか?」
 椅子と周囲を見回したれいは少し考えたが、これで問題ないだろうと結論付ける。だが、椅子だけがポツンと置かれているのは何だか寂しさを感じさせた。
「………………かといって何か置くと言いましても」
 一応倉庫の中には、神事にでも使えそうな物や何処かの祭壇がそのまま流れ着いた物など様々あったが、どれもあまりピンとは来なかった。
「………………建物と様式が異なるからでしょうか?」
 それらが造られた世界が違うようなので、目的は似たようなものでもイマイチ噛み合わないのかもしれない。そう思ったれいは、椅子だけでいいかと思うことにして、その椅子に腰掛けてみる。
「………………考えてみると、椅子に座る機会もそうそうないんですよね」
 管理補佐から報告を受ける際にソファーに座るとかそういう時を除けば、れいは常に立ったままである。それで疲労は感じないが、たまにはこうして無意味に座ってみるのもいいだろう。
「………………座り心地は悪くないですね。見た目だけではなく機能性もしっかりしているのはいいですね」
 厳つい見た目に反して、腰回りを包み込むようなクッション性の高い椅子に、れいは感心するように呟いた。これであれば、長時間座っていても苦にはならないかもしれない。もっとも、れいが使用するには大きさが問題ではあるが。
「………………何か用途を思いつかなければ、しばらくここは私しか利用しないのでしょうね」
 巨大な椅子にちょこんと腰掛けながら、れいは困ったものだと小さく息を吐き出す。考えてみても、今のところこれといった利用方法は思いつきそうもなかった。

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