箱庭の管理者

　新しい管理補佐達を創造して時が過ぎた。元々知識は詰め込まれていたので、更に実地でも学んだことで、直ぐにでも仕事を任せられるまでに成長した管理補佐達は、そのまま仕事を引き継いで仕事をしていく。
　そのおかげで、れいや既存の管理補佐達は大分仕事の量が減少した。既存の管理補佐達は、その分現場での仕事に重点が置かれるようになったが、現場の仕事に集中出来るようになったのでパフォーマンスは上がっているようだった。
　れいに関しては、減った分が別口で増えている。それとは別に、れいは再度管理補佐を複数体創造していく。それは育った管理補佐達に教育させる分。今後は新たな管理補佐達にも仕事を割り振りつつも、主に教育係として使用していく予定。仕事は今後も増えていく予定なので、余裕がある内に教育係も用意しておいた方がいいだろうという判断から。
　そうして新たに管理補佐を複数体創造したれいは、名付けまで終えたところで、それぞれの担当である管理補佐に教育を任せた。
　新たな管理補佐達の教育を任せた後、れいは世界の管理に集中する。
　ハードゥスに流れてくる力は膨大な量なので、ハードゥスを循環している力が乱れないようにするのは結構苦労する。半ば力業なところがあるので、これに関してはれい以外には任せられない。管理補佐では力不足すぎて、束になっても難しいだろう。
　それほどに膨大な量の力に抗いつつ、れいはハードゥスに循環している力を正常に保つ。
　この循環している力が乱れてしまうと、各所で悪影響が出てしまう。生き物が棲めなくなる程度ならまだしも、最悪ハードゥスが壊れてしまうだろう。
　それぐらい重要な役割なので、れいの力の大半はここに投入されている。それにはハードゥスの防衛も含まれているので、ハードゥスの破壊は非常に困難だった。
　それに、それだけ大量の力を注ぎこんでおきながらも、少し前まで成長で悩んでいたのだから、れいの力の総量はかなり膨大だということだろう。
　管理補佐を大量に創造して力を消耗した後なので、今は地上に身体を出さずにハードゥスの管理に集中しているが、それも直ぐに回復してしまう。
　地上に身体を構築すると、そのまま見回りを行っていく。見回りといっても、実質散歩であるのだが。
　ついでにペットを愛でたりしながら、れいはハードゥスの現状を確認していった。
「………………本当に大きくなりましたね」
　幾つもの大陸に、広大な大地。そこに広がる自然と、拡大していく人や魔物の生息圏。少し前に一部の大陸を拡張した部分に漂着させた者達も、順調に文明を築いているようだ。周囲に助けになる存在が居ないので、様々な世界から集まっていようとも、協力して営みを安定さようとしているようだった。
　それでも完全に安全とは言えず、まだまだ不安はあるも、順調に人口は増えているようなので、それも直に安定することだろう。
　問題なさそうだったので、れいは遠くから観察するだけに留めた。
　その後も様々な場所を見て回っていく。かなり広くなったので、のんびり見て回るだけで半月ほど掛かってしまった。途中で地上に出す身体を増やしたのだが、それでも結構な時間が掛かった。もっとも、それはそれでれいにとっては嬉しい成果ではあったのだが。