二代目創造主とペット事情
「………………困ったものです」
れいは空を見上げながらぽつりと呟く。
二代目創造主は随分と優秀なようで、いや二代目創造主も分身体なので、優秀なのは本体だったれいと言うべきか。外の世界の力を完璧に制御しているようで、新しいペットが生まれなくなっていた。
兆候は今でもたまに表れるのだが、兆候が表れると創造主がその辺りの力の濃度を変化させて、それを無かったことにしてしまうのだ。ペット候補は成長にも時間が掛かるので、それまでに見つからないというのは、いくら無限に広がる世界とて不可能であった。なにせ、ハードゥスに居ながられいが兆候を察知できるのだから、そんなれいよりも高性能である本体だったれいが見落とすなどありえない。
つまり、これ以上ペットの補充は難しいということ。
「………………クマのぬいぐるみは消さずに、強引にでもペットにしておくべきだったかもしれませんね」
最後のペット候補だった存在を思い出したれいは、小さく息を吐き出す。似たような存在を創造することは可能だが、それとこれとは話が違う。
「………………かといって、抗議するのは違いますし」
れいにとってはペット候補ではあるが、世界にとっては災厄に等しい。今の創造主や本体だったれいなど強者は存在するが、それでも一般的な世界にとっては災厄以外の何物でもない。そういうわけで、ペット候補誕生の邪魔をするなとは言えなかった。
「………………はぁ。ここは、現在飼っている分だけで満足するべきなのでしょうね」
流石にそんな状況では何もできないので、れいは小さく息を吐き出すと、新たなペットについては諦めるのだった。
「………………そうなると、今飼っている分はもう少し可愛がってもいいかもしれませんね」
そう思うも、既に広大な世界に十分な餌と至れり尽くせりの環境なので、これ以上やることもない。特に強制することも無いので、れいが愛でる時以外は自由にさせているのであるし。
そう考えると、今のままでもいいかという結論に達する。それどころか、広大過ぎる世界を少し縮めてもいいぐらいだろう。
もっとも、ペットの飼育はれいの数少ない趣味のようなものとはいえ、そのためにわざわざそうするつもりはないのだが。
「………………何か遊べるようなモノがあればいいのですが」
迷宮は小さいし、自然だってラオーネ達にとってはミニチュアでしかない。ラオーネだけはギリギリ楽しめそうだが、それぐらいだ。もしかしたら漂着物の在庫を少し消費出来るかとも考えたが、難しそうだった。狩りも既に獲物が十分に存在しているので、新しく追加する必要はない。
更に考えたれいであったが、現状維持でも問題ないかと考え、軽く頭を振った。
「………………ペットの方は今のままでいいですね。後は在庫の方ですが……こちらは中々名案は浮かびませんね」
別に急ぎというわけでもないので、れいは小さく息を吐き出すと、頭を振って思考を切り替えたのだった。