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ー話は変わって。
最近、すごく夢見が悪くなった。
初めの頃は、それを見るのは週に一回程度だったが、三日に一回、そして今は毎日だ。
中身はいつも変わらない。血と泥が混ざり合ったぬかるみの中に俺がうつぶせに倒れているところからだ。
しかし、ここから指一本まともに動かすことすらできない。耳をそばだててみると、どうやら戦いの真っ最中だということは分かるが。
ゆっくり顔を上げてみると、びちゃびちゃ泥をはね上げながら、鉄や革の靴が俺のすぐ横を走り抜けていく。人間の剣士か。
それを横目で見ていて……うなされながら目が覚めるんだ。
傍らでは、心配そうな顔で俺をゆさゆさと起こし続けるチビがいた。
「おきて! おとうたんおきて!」って。
寝汗でいつも身体はびっしょりと濡れている。そんな俺の姿にトガリは「いいかげんこのシーツ洗おうよ。めちゃくちゃ臭いよ」と、半ば呆れ顔で言ってくるから、当然のことながら一発殴って黙らせる。
夢なんて見るのはいつものことだ……が、今回に関しては全然違う。
そうだ、毎回内容が一緒だってことだ。
吐きたくなるほどの血のぬかるみの中で、なぜ俺は倒れ込んでいるんだ。なんで起き上がることすらできないんだ?
それらはいつも疑問のまま。そしてうなされながら朝が来る。
心配してくれてるのかどうかは知らないが、ある日トガリが、俺にうってつけの仕事を持ってきてくれた。
なんでも、ここから少し離れた場所にあるリンゴ農家のジジイが腰を痛めてしまったらしく、収穫ができなくて困っているとのこと。
「ラッシュ、チビちゃん一緒に連れてって手伝いに行ってあげなよ」
うん……そうだな。チビのやつもここ最近字の勉強をしていてあまり外に出ていないし。
「りんごいっぱいたべれる?」と、目を輝かせながらチビが尋ねる。
チビも俺もりんごは大好きだ。ならば答えは一つしかない。
「んで、報酬はどれくらいだ?」
………………
…………
……
ま、いいか。