大陸拡張
漂着物を集めた一角は、他の世界と比べると規模が小さい。それも拡張に拡張を重ねて大陸がずいぶん増えた今では大して差はなくなったのだが、その大陸も初期の頃の大陸ほど小さかった。
れいはそういった大陸の拡張を時折やってはいたのだが、それよりも人や魔物が増える速度が早く、それに伴い各地に拡がっていっていくのが随分早いようで、結果として大陸が手狭になってきていた。
最近は大陸間を渡れるようになってきていたので、それも多少は緩和されているようだが。
中には小さい大陸があってもいいのだろうが、折角だからと、れいは他の大陸と同じぐらいまでまだ小さかった大陸を一気に拡張させることにする。
そのためには各大陸の配置を弄ったりしなければならないが、そうすると航路が変わってしまうので、今現在の航路には影響しない外側に拡張していくことにした。
もっとも、大陸の外側に既に町村を築いている場所も存在するので、その辺りも考慮しなければならない。港町を陸にするわけにはいかないので、陸の方を伸ばすとか、港町に面する海を入り江にするように陸を伸ばすとかしなければならない。
一番手っ取り早いのは、航路に影響しない誰も居ない方面を伸ばすことだが、そうすると少々不格好な形になる。
「………………大陸ですし、形は気にすることではありませんね」
少し考えたれいは、別に問題ないかとそうすることにする。
サクサクと小さかった大陸を全て一気に拡張させた後は、その分だけ海も外側に拡げておく。これで漂着物を集めた一角の規模は、他の世界の規模とほぼ同じになった。
海は向かい側の端と端を空間で繋げているので、れい以外は許可を得た者でなければペット区画には入れないようにしている。これは管理補佐やラオーネ達ペットも同じ。
もっともラオーネ達に関しては、その空間を通る許可を出しているのだが、その空間を通るペットは今のところシエルーチュのみ。それも空を回遊している時に気づかす入って、知らぬ間に出ていっているだけだが。
管理補佐に関しては、今のところ臨時で何か頼む時以外は基本的に漂着物を集めた一角の外には出さないようにしている。与えた役割が漂着物を集めた一角内で済むことばかりなので、仮に許可しても外に出るとは思えないが。
「………………まぁ、別に許可してもいいのですがね」
それも何となく許可を与える機会が来ない程度の理由なので、深い意味は全くない。管理補佐から申請があれば、多分れいは直ぐに許可を出すだろう。
今回は拡張する場所の選定に少し時間が掛かったぐらいで、それ以外は一分と掛からず全ての作業を終えたれいは、拡張した部分の様子を確かめながら微調整を行っていく。
それも終わると、拡張した全ての場所に有り余っている在庫から森や山などの自然を配置していく。忘れずに魔物や迷宮もついでに配置した。新設の場所なので、魔物をそのまま配置しても問題ないだろう。
それが終わると、安全圏として取っておいた場所に家や人も配しておくことにする。安全圏といっても完全な安全圏ではないので、保管庫の中から強そうな人物も一緒に出すことにした。人の生活圏から大分離れているので、文明を一気に発展しそうな人物も送り込んでおくことにする。
他にも細々としたモノを用意した後、管理補佐の中から町などで管理者の経験がある者を選び、新たな地の管理者に任命する。
そこまで終わった後、近くに居たネメシスを呼んで、何回かに分けて人を案内させた。説明もしっかりさせたうえに、見せしめとして明らかな不良在庫を混ぜておいたので、不良在庫の処分共々上手くいったようだ。
用意していた場所全てに予定していた人員を全員案内させた後、任務を終えたネメシスを労い、案内させたのが結構な人数になったので、褒美として薄めていない力の実を渡しておいた。エイビスにも少し前に渡したので、これでネメシスとエイビスのパワーバランスは崩れないだろう。
そうして全ての作業を終えた後、しばらく様子を見る必要はあるが、とりあえず大陸の拡張作業は終わりとなった。