大陸間交流
大陸間を渡る船が開発されてそれなりの時が過ぎた。
その時間で船は様々な進化を遂げ、今では荒波を越えて大陸を移動する船も大分増えたものだ。それでも、海にも魔物が居るのでまだ安全というには少々心もとなくはあるが。
大陸を渡れるようなったことで、大陸間の交流と共に貿易も行われるようになった。魔物の大陸に到達した船もあり、その存在が人々に知られるようになったのもつい最近の話。
保護島や植物の大陸はれいが封鎖しているのでまだ発見されていないが、植物の大陸はそろそろ解禁されることだろう。
そうして交流を重ねることで、技術の方も順調に発展している。人の手で造られる装備の性能や、農業や畜産などの食に関する技術も向上している。他にも色々と発展しているが、中でも魔物に対しては特に協調しているようだ。
そういった話があるなか、やはり冒険というのは人々の心をくすぐるのか、そういった政治的な話などとは無関係に海に出る者の多くは、大量の迷宮が待つ迷宮大陸を目指していた。
というのも、迷宮大陸の迷宮で産出される品は、他の大陸の迷宮よりも品質がいいモノが多いのだ。その辺りはれいが迷宮大陸の事情を考慮しての処置なのだが、そんなことを人が知るはずもない。
とはいえ、これにより迷宮大陸の迷宮に挑む者の数が一気に急増した。それでもなお迷宮の数は多いのだが、そろそろ抑制レベルを下げてもいいかもしれないとれいが考える程度には順調だった。
そういうことなので、迷宮大陸の名産は迷宮から産出される質のいい装備が主になる。食料も品質の高いものが採れるので、技術の向上に伴い、そちらは質のいい保存食として出荷されている。
もっとも、迷宮大陸には迷宮から溢れて野生化した魔物や、それを捕食するドラゴンが居るので、あまり街から離れた迷宮には足を運べていないようだが。
ドラゴンは離れた場所に在る人の生息圏内には入ってこないので、そこまで危険視するほどではない。むしろ迷宮大陸の現地人は、代わりに魔物を狩ってくれるドラゴンを崇めているようだった。ドラゴンとしては、ただ腹が減ったから魔物を狩っているだけなのだが、益を与える強大な存在とはそういう定めなのかもしれない。
ただ、ドラゴンが今のところ人の生活圏に入ってきていないのは、れいが言い含めているのと巣の位置を調整しているからに過ぎないのだが、それもまた人の知るところではない。
とにかく、迷宮大陸は他の大陸と少々異なる文化を築いている場所で、その中心はやはり迷宮。ここの迷宮に限って言えば、食料を迷宮だけでも賄えるぐらい。無論、それでももしもの備えに地上でも農業をしているようだが。
そんな大陸に迷宮目当てに移住する者も結構増えた。その結果、文化もまた変化してきたが、移住者のほとんどが迷宮目当てなので、色々と乗っ取られるようなことにはならなかったのは幸いか。迷宮大陸の元々の人口はそこまで多くはないのだ。
迷宮の方は攻略が進んでいるが、他の場所と違ってある程度成長しているので、そうポンポンと攻略できないようではあるが。
ただ、わざわざ海を越えてまでやってくるような者達はその方が嬉しいようで、迷宮大陸は活気に満ちていた。
れいもそれを汲んで、攻略後に新しく設置する迷宮は、新しいのを後方に設置して代わりに後方で育ったのを前に出すか、新しいのを多少成長させてから設置するという方法をとっていた。勿論、新人用の迷宮を幾つか近場に設置するのも忘れていないが。
そういったれいの細かな気遣いも、迷宮大陸が活気に満ちている要因なのだろう。