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狙う者と挑む者

 運試しというモノがある。くじ引きやあみだくじなどの大人しいモノから、ギャンブルやあえて危険に身を晒すなどの破滅と表裏一体のようなモノまで様々存在している。
 それはどの世界でも存在している原始的な遊戯であるとも言える存在で、また誰にでもチャンスがあるように見えるので、つい夢中になってしまう者が出やすい遊戯でもあった。
 それだけに、当然ハードゥスにも存在している。くじにギャンブルにととにかく数が豊富だが、その中で最も人気があるのは、もしかしたら迷宮探索かもしれない。
 迷宮には魔物が出るので、最低限それと戦えるだけの力が必要になるが、それでも迷宮には浅層からでも宝箱が出現する。宝箱の中身は様々で、深層ほど中身の質が増すので、当たりの確率が上がる。
 それでも、浅層の宝箱の中にも当たりや大当たりと言われるような部類の品も稀に出てくるもの。それ故に、一獲千金を夢見て迷宮に潜ろうとする者は後を絶たない。だが忘れてはならないのは、それは己の命を懸けたギャンブルであるということ。
 それとは別に、迷宮に挑む者達も居る。こちらは迷宮を斃すのが目的の者達。
 別の世界には娯楽を満喫する管理者が増えたことで、迷宮の種類も増えた。それ故に、迷宮に合わせた戦術というものが必要になってくる。
 成長速度や魔物の強さも迷宮によるので、現在のハードゥスでの迷宮攻略は中々に複雑になってきている。そのために○○迷宮専門という者達も大分増えた。
 迷宮の種類によらず挑む者達はかなり限られてくるが、一般的に言って、そういう者達は兵士と呼ばれる職種の者が多い。つまりは国の兵士で迷宮攻略する場合、迷宮の種類は問わないというわけだ。
 もっとも、そんな軍団の中でも○○迷宮専門の部隊のように分かれてはいるが、文字通りに迷宮の種類を問わず挑む者は、兵士の中でも精鋭の部類に入る者達だけだ。
「………………」
 そんな運試しを目的とする者や迷宮に挑む者達を眺めながら、れいは考える。しばらく考えた結果、これの何が面白いのだろうかと疑問に思った。
「………………ですが、実際拡がっているのですよね」
 迷宮の種類だけでもその盛り上がりが分かるというもの。
 最近は盛り上がり過ぎて、別世界の強き者を管理者がではなく、被造物達が何らかの方法で無理矢理自分達の世界に引っ張ってくるという事件も起きているほど。その黒幕はやり方を教えた管理者なのだが、実行したのは被造物なので色々面倒なことになっているらしい。
 そろそろ何かしらの規定が設けられるだろうが、それはれいには関係の無い話なので横に措く。
 とりあえず、迷宮で稼ごうとしている者達はどうでもいいのだが、攻略のために迷宮に挑もうとしている者達には何かしら手助けをしてもいいかもしれないとれいは思った。積極的に消費しているというのに、迷宮の在庫がとんでもないことになっているのだ。
「………………もう少し攻略速度を上げてほしいですからね」
 せめて流れ着く量と同じだけ減ればいいのだがとは思うも、それすら上手くいっていない。
「………………何がいいでしょうか?」
 とりあえず現時点で積極的に迷宮攻略を行っている者達をピックアップしたれいは、その相談をするために魔木のところに行ってみることにした。れいが一人で判断すると、またやり過ぎるかもしれないので念のため。

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