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どっちが上手?!

「ちょっと…鷹弥…鷹弥!!」
日向は走る鷹弥に声をかける。
息が切れる。

「どこまで行くの?」
日向のその問いに鷹弥は道の真ん中でピタッと止まった

鷹弥「どこ行こう?」
「へ??」鷹弥の返事に日向は気が抜けて爆笑した。

日向「私お金も払ってないんだけど」
鷹弥「あ、俺もだ。」
鷹弥はスマホを取り出してカケルにLINEした。
鷹弥「大丈夫。俺にツケといてもらう。あ、日向、何飲んだ?って」
日向「ビール2杯とジントニック」
鷹弥「『了解』だって」鷹弥
日向「あ、てか私のスマホないよー?テーブル置きっぱかも…」
鷹弥「カバンに入れとけよー」
日向「出すでしょ、スマホは…てかこのバッグよくわかったね」
鷹弥「“アキちゃん”に聞いた。突然アキちゃんて呼んだら声裏返ってた」
日向は吹き出した。

スマホを操作しながら鷹弥は言う。
「スマホあったって。カケルが預かるって言ってるから客がはけたら取りに行こっか。」

日向「カケルちゃん大丈夫かな?騒ぎになってないかな?」

鷹弥「カケルには先に謝った。それに…こんだけすぐ返信来てたら大丈夫なんじゃない?」

日向「そっか…」

二人は淡々と会話のやり取りをしてると

「またそうやって周りばっか気にする」
と鷹弥は日向のほっぺたを両手でギューッとしてタコみたい、と笑った。

「一応もっかい謝っとくか…」
と鷹弥がスマホを見るとすぐ
「やっぱ大丈夫だろ」
と言って私に画面を見せた。

『よくやった!!!』

とカケルから入っていた。

日向は鷹弥の顔を見て
「鷹弥、ありがとう」と言って
「私、鷹弥にお礼言ってばっかりだ…」
とひなたが言うと

「人前で不意打ちでキスして連れ去ったのに感謝してくれんの?」
鷹弥は悪い顔で笑う。

日向は顔を赤くしてちょっと鷹弥を睨むと
鷹弥のシャツの首元を掴んでキスをした。

「これで不意打ちキスはお互い様。連れ去るのは私の為だからやっぱりありがとう」
と言って日向はニッコリ笑った。

鷹弥は真っ赤になってしゃがみこんで言った。
「俺やっぱり日向には敵う気がしない…」
と言ったら日向はしてやったり顔をした。

鷹弥はゆっくり立ち上がりながら
「まぁでもさ、今日は常連の貸し切りだったわけだから。これで晴れて日向と噂になるのは“圭輔”じゃなく俺になったわけで…日向が嘘ついてでも今まで大事に守った“みんな”があとは勝手に日向を守ってくれるだろ。噂の結末は日向の好きにして」
と言って鷹弥は笑った。

(それじゃぁやっぱり「キス」も私の為って事になる…)
日向は胸が熱くなった。

「さて…と。brushupの客がはけるまでどうしましょう?連れ去られたお姫様」
鷹弥が日向の顔を覗き込んだ。

「うーん…あ、アレは?!」
と日向は道の先を指さした。
「身体、動かしたくない?!」
日向はワクワクした顔で鷹弥を見た。

「いいねぇ」鷹弥も日向の意見に乗った。

二人はカケルから連絡があるまで汗だくになるまで身体を動かした。

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