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王子が姫をさらう?!

「…なんか…二人とも老け込んでない?」
カウンターに来て日向が鷹弥とカケルに言った。

(人の気も知らねーで…)
と思いながら鷹弥が言った。
「日向大丈夫なの?」

「んー…」日向が言うとカケルが

「鷹弥効果?」とニヤニヤまた茶化す。
「そうねー」と日向もニヤニヤ。

「もうお前ら嫌い」鷹弥が拗ねる。

「ひな~!」
「あ、アキちゃんが呼んでるから行くね」
と言って鷹弥の耳元で
「ありがとう」と言った。

また鷹弥の顔が一瞬で赤くなる。
「アイツ、俺を殺す気…?」鷹弥が言うと
「もう殺されてんじゃね?」とカケルが言った。

「ひな、今無口王子と話してなかった?」
アキちゃんが言う。
「うん、この前ちょっと話すタイミングがあってね」
と言ったらものすごく羨望の眼差しで見られた。
やっぱり鷹弥カッコイイんだなぁ、とカウンターの鷹弥を見て改めて日向も思った。

「新郎新婦入場でーす!」

また店内が賑やかになる。

白のドレスとスーツを着た圭輔と茜が2階から降りてきて真ん中に置かれたテーブル席に座る。
圭輔は慣れてない感じで少し嫌そうにしてる。
日向は遠目に圭輔を見て冷静に、少し痩せたなぁーなんて思っていた。

「あっ!ひなちゃーん!こっちきてー!」

突然茜が日向を呼んだ。
圭輔もびっくりしてる。

カケルと鷹弥も身構えた。

日向は行かないわけにはいかない、と素直に2人のいる所に向かう。
今日一番圭輔に近づく。
会うのすら久しぶりで、圭輔の最後のキスのあとの顔が頭の中をチラつく。

冷静に。冷静に。日向は自分に言い聞かせた。

「ひなちゃんがくれた花束とひなちゃんと写真撮りたいの。いい?」
茜が言う。
「もちろんです」日向は答えると
「圭輔さん、おめでとうございます。」と笑顔で言った。
でも圭輔は余裕がなく複雑な顔でなんとか「ありがとう」だけ言った。
茜は圭輔の顔に気が付いたが見て見ぬふりをした。

それをカケルと鷹弥は離れたところから見てる。鷹弥はカウンター席を立って少し動いた。カケルも鷹弥の横にいる。

「ねーねーひなちゃん、真ん中来て♡ほら、新郎新婦に挟まれると幸せになれるって言うでしょー!」

「え…」圭輔の強ばる顔に日向もどうしたらいいかわからなくなってしまった。

「茜、無理矢理そういう事すんな」
圭輔が言った。

茜「無理矢理?ひなちゃんイヤなの?」
「いやじゃないですよ」
日向はヤバいと思って即答した。

「だよねー♡私と圭ちゃん二人の幸せ、分けてあげるね♡」

茜は悪びれもなく言う。
(ズキン…)
この言葉はさすがに…と思ったけど無理矢理間に入れられてしまった。
「ほらー!圭ちゃんも笑って♡」

「茜ちゃん…思ってた以上に歪んでんな…ひなもだけどアレ、圭輔がヤバそうじゃない?周りも変に思うんじゃ…」
カケルが言う。

「カケル…」
鷹弥の意外と冷静な声にカケルは鷹弥の方を見た。

「乱闘とか絶対しない。でも騒ぎにはなるかも、ごめん。」
と言って鷹弥が動いてなぜかアキの方へ行く。

「ちょ…鷹弥何する気…って何でアキの方??」カケルは一人でテンパった。

「アキちゃん」
鷹弥に突然名前を呼ばれアキは声が裏返る。
アキ「はぃ??(えっ?王子?)」
鷹弥「日向の荷物どれ?あ、これ?」
アキ「え?ひなの?え、はぃ、ソレです…」

鷹弥は日向のバッグを持つと急いで圭輔と茜、日向のいる方へ向かう。

茜「ひなちゃん、写真LINEで送るね!」
日向はありがとうと答えて席を立ち二人の間から離れようとすると前からギュッと茜に左手を取られ

茜「わー!ひなちゃんの手、指が細くて長くてすごくキレイー♡ね、圭ちゃん見て見て!なんか私よりこの結婚指輪似合いそうな手、いいなー!」

日向は戸惑う。

茜「圭ちゃんの指も長いよねーと」

言って圭輔の手も取ると茜が日向と圭輔の手をくっつけようとしたその時

「日向!!!」
大きな声で呼ばれたと思うとあいてた右手を引っ張られて振り向いた瞬間、
鷹弥が日向にキスをした。

店内が一瞬だけシンっーとして直後に
「おぉーーーー」と歓声が上がった。

カケルは「なるほどね…」とため息をついて、アイツやるじゃん♬︎と口笛を鳴らした。

何が起きたかわからず日向が
「え?」と言うと鷹弥はニヤっと笑って
「行こっか!」
と日向の手を取って走り出した。

店内は
「王子が姫をさらっていったー」
と大騒ぎになった。

圭輔はグッと拳を握りしめた。

「お姫様…持ってかれちゃったねぇ」
ボソッと茜が言って
「茜、お前っ…」と圭輔がハッと茜の顔を見た。

茜は圭輔の方を見なかった。

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