07
黒髪でサラサラの長い髪。
スラッとして背が高くてモデルでもやっていそうなぐらいスタイルがいい。
何より上品な感じの美人だった。
本当……世の中は、不公平よね。
こんなにも自分と差があるのだから……。
これだけ美人なら、イケメンでもすぐに落とせるだろうに。羨ましい限りだわ。
すると課長は、驚いた表情をしていた。
「お、お久しぶりです。沙夜先輩」
沙夜……先輩!?えぇっ?
もしかして課長は、この綺麗な人と知り合いなの?
しかも先輩で、名前呼び……。
「フフッ……久しぶりね。
不知火君。元気そうで何よりだわ」
「先輩こそ……今帰りですか?」
「えぇ、日曜までクライアントに呼び出されてもう大変。
あら、そちらの方は?もしかして、彼女さん?」
綺麗な女性は、私に気づいた。
えっと……この場合どうやって説明をしたらいいのだろうか。戸惑っていたら課長は……。
「俺の元部下です。最近顔を合わせる事が多いから
ついでに一緒に食事にと思いまして」
そう言って説明をしてきた。元部下……。
いや、課長の言っている事は、何一つ間違っていない。
いないのに……何だか気持ちがモヤモヤする。
「そうなの?あら、いいわねぇー私は、これから1人でご飯なの。寂しいだけだわ」
「えっ……?橘先輩は?
旦那さんと一緒に食べないんですか?」
フフッと笑う女性に課長は、驚いて聞き返していた。
旦那さん!?えっ?ってことは、この人は……既婚者!?
思わず驚いてしまう。いや、別におかしくないけど。
これだけ綺麗の人なら普通旦那さんぐらい居るでしょ?
なんだ……そっか。
あれ?何で……私ホッとしているのだろう?
まるで結婚してもらわないと困るみたいに……。
結婚してようが私には、まったく関係ないのに?