第九十三話
日の丸テレビ東京支局報道局スタジオ。9:00。
司会のアナウンサーがカメラに向かってお辞儀をする。
「はい、OKです。本日もありがとうございました!」
コメンテーターやアナウンサーがスタジオの裏に移動し、待機していたスタッフが一斉に機材を片付け始める。
「ルークプロデューサー、お疲れ様です!」
「あぁ。お疲れ」
「相変わらずお忙しいですね。……でも今日こそは付き合ってくれるんですよね?」
「いや、今日も終電まで遅くなりそうだ。またにしてくれ。……高井、打ち合わせの資料は用意したか? まだなら急いで部数を揃えろ。
……吉岡! それは後でいいから先にこっちを手伝え!」
相手にされずいじけている渡辺アミをよそに、俺はフロアを移動しながらスタッフへ忙しく指示を出していた。
スタジオを抜けた先にある廊下でスタッフがエレベーターを待つ中、俺は階段を一つ飛ばしに駆け上がる。
4階にある小会議室へ一番乗りでやってくると、iPadを立ち上げて今日の予定を再確認した。
そうこうしているうちにスタッフがどやどやと入室し、新番組の会議が始まった。