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第五十三話

俺達は湖面が波打つ音を聞きながら、森林浴をしている真っ最中だ。


都会より自然の中にいる方が生き生きして見えるのは気のせいだろうか。


もう彼女が俺の名前を呼ぶのに躊躇することはなくなった。


時折沈黙することはあっても、それは違和感のない自然なもので、むしろその静寂が心地良い。


それに、完全なる無音ではない。


この森は生きている。


風が吹けば木々が葉を揺らし、互いに囁き合う。


野生動物の多いこの地では、野鳥だけでなくリスやウサギも生息している。


彼女の家にまでウサギが跳んでくることはないだろうから、せめて彼女に見せてやれたらと密かに探していたのだが、今日はこの辺りにはいないようだ。


まあ仕方ない。


彼らにも生活がある。


そう上手くはいかないか。






「ねぇ、ルークはどんな仕事をしているの?」


無意識に鳥の乗っていた指がビクリと動く。


幸せの青い鳥はぎょっと目を見開くと、バタバタと空へ飛び立ってしまった。


曇りのない眼で尋ねられ、俺はつい「え?」と聞き返した。


「ルークの仕事。いつもどんなことしているのか、ちょっと聞いてみたくなって」

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