第十四話
一般女性が掲載される美少女図鑑も10年分を遡って探してみたが、やはり掲載されていなかった。
出会った時に地味な服を着ていたことから、自分を売り出しに行くような人間ではないことは分かっていたため、大して期待もしていなかったのだが。
口にくわえた煙草の灰がデスクにぽろりと落ちた。
この一週間事務所に籠ってずっと彼女のことを探していたが、ここでも情報は得られなかった。
「また振出しか」
忌々しい同僚に渡された資料を荒々しく手に取ると、目にもとまらぬ速さでキーボードを叩いた。
エクセルに数字がどんどん入力されていく。
仕上がったデータを保存して、パソコンの電源を切る。
時刻は20:30だ。
私物のパソコンを閉じて鞄にしまうと、事務所の戸締りをして駅に向かった。