交流場
管理者達の交流場は毎日賑わっている。これほど大規模な管理者達の交流場は他には存在せず、この交流場を真似て少人数での交流を目的とした催しを何処かの管理者がたまに開く程度。ようはお茶会やパーティーを主催するぐらいといったところ。
その元祖とも言える交流場はハードゥスの一部を使用しているので、当然ハードゥスの管理者であるれいが管理していたのだが、段々と交流場が忙しくなり、一日中交流場に詰めておかなければならないまでに参加する管理者の規模が拡がったので、れいは本体に頼んで代わりの管理者を派遣してもらうことにした。
そして現在、ハードゥスの管理者とは別の分身体のれいが交流場の管理をしていた。別の分身体といっても、情報は共有しているので問題は無い。
交流場はハードゥスの一部ではあるが、わざわざ世界の力の流れの外に出るようにして拡張して創った場所なので、こちらは世界の力の奔流にほぼ影響されない。
交流場の管理者となった分身体のれいは、やってくる管理者のあまりに膨大な数に、管理補佐をそれなりの数創造して、しっかりと管理の補佐をさせている。
一応交流場に入れる人数の上限は決まっているので、必要数確保しておけばそれで上手く回せているし、管理者間の諍いはれいが責任をもって止めているので、今では交流場にやってくる管理者は大人しいものだ。たまに口喧嘩が発生するが、その程度で済んでいる。
交流場には会議場なども用意されているので、そちらも盛況だ。変わったところでは、指導が終わった後にここで様々な話を聞いた影響で、自身の管理している世界の創造をやり直すという管理者もまれにだが存在していた。
もっとも、それだけ交流が盛んでも管理者のほとんどが凡庸な存在で、自分の管理している世界程度の知識しか持ち合わせてなく、あっても交流場で交流した管理者に聞いた話や、遊びに行った時に知った情報ぐらいしか持っていなかった。つまり、れい以外の管理者の中に創造主が代わったという情報を持っている管理者は今のところ存在していないということ。
それでしっかりと回っているし、そもそも創造主がれい以外に連絡を取らなかったというのが原因でもあるのだが。管理者にとって創造主とは、見守っている存在程度にしか認識されていない。それも良くて、という冠がつくのだが。大抵は意識もしていない。
まぁ、創造主が代わろうとも、世界には何も影響しないということなのだろう。実際、代わりに世界を創造し続けるのならば、その席は誰が座っていてもいいのだから。
唯一影響しそうなのが、ハードゥスぐらいか。新しい創造主の創る世界に穴は開かないのだから。いや、それでも管理者間の争いは消えることがないだろうから、そこまで劇的に漂着物の量が減るという話でもない。
世は押しなべて事はなしとでも言えばいいか、変化があっても結局日常は変わらないらしい。ただ、無数に存在するだけに管理者の中には新しい遊びを思いつく者が居るようで、巡り巡って最終的にはそのおもちゃはハードゥスに漂着するのだろう。