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第78話 おかしいっ!ジャファ様の好感度が上がらない!私がヒロインなのに!

 感情的になりそうな気持ちをぐっと抑え、アリスを睨み返す。

「申しわけございませんが、諦めることはできません。最後まで抗わせていただきますわ」

「ふふっ……意味ないわよ? 私が決めたら、ぜったいにそうなるんだから。あんたはミストリア王国にとって邪魔者なの。とっとと消えて?」

 それを聞いたジャファルが、さすがに黙っていられないようで嘲笑う。

「ローゼマリアひとりの生死で、国が滅びる? ミストリア王国とは、なんと脆弱な国か。現国王の治世に問題があるのではないか? 根拠もなく、まったくもって言語道断。荒唐無稽ではないか」

「な、なによ。私の言うこと信じられないの?」

「きさま自身を信じていない」

 アリスが親指を口もとに持ってくると、ガリガリと爪をかみ始めた。

「おかしい、おかしいわ……これじゃあ好感度が上昇するどころか、マイナスじゃないの」

 好感度という言葉がアリスの口から出て、ローゼマリアは確信した。

「アリス。あなたも、ゲームの……」

 そのとき、ローゼマリアの言葉を遮るように、扉からノック音がした。
 開いた扉から、ラムジが慌てたようすで貴賓室に入ってくる。

「国王陛下。お客さまがお越しです。今すぐ謁見したいとのことですが、いかがいたしましょうか?」

 ラムジの伝達に、ぱっと喜んだのはアリスだ。

「フォーチュンナイトね! んもうっ! 遅いんだから!」

 脳天気なアリスを目にして、ジャファルが薄く微笑む。

「今すぐ、ここに連れてきてくれ」

「よろしいのですか?」

「構わん」

 成り行きを見ていたアリスが、ローゼに対して、ふふっと鼻で笑う。

「フォーチュンナイトが登場したら、もうあとがないわよ? 覚悟してね」

 優位な立場に立ったと思ったのか、アリスが機嫌よさそうにスキップを始めた。

 相変わらず宰相は、手にコーヒーカップを持ち、ソファに座ったまま成り行きを窺っている。
 フンフンと鼻歌を歌いながら、貴賓室の中をうろうろするアリスに、ローゼマリアは問いかけた。

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