8話 greeting
「いいんじゃね?俺たちの仲間になるなら大歓迎だろ。」
「ほんとそれ、この地域のメンツ中々入ってくれないんよねー。まあ他地域のチームより弱いのもあるけどさ。」
「誰のグループになるんやろね、まずは安全なとこやろうけど。」
集まっているメンバーからは思っていたより歓迎ムードだ。第一の関門は突破か、しかし問題は悠斗が下っ端としてチームに入る訳ではないこと。
「はい、みんなよろしくなー。ちなみにだけど、うちの傘下組織のボスになってもらう予定だ。」
「ええっ、まじすか!!新メンバーでいきなりボス!?」
そりゃそうなるだろうなと悠斗は思いつつ聞き流す、ド新人が今までチームの為に貢献してきた人の上に立つなど、普通は受け入れられる話ではないだろう。
「てか、そもそも傘下組織作るの初めてじゃないですか!」
「いやいや仁さん、ここからどうやって更にメンバー集めるんすか…博多の奴らじゃあるまいし。」
「先輩?ただボスになるんじゃなくて、一から組織を作り上げるっこと?」
「悪い、言ってなかった!そう!!悠斗にはメンバーを集めて、チームの立ち上げからやって貰う。どう?」
どう?じゃねえよ、やってくれたなこの先輩、と悠斗は山城先輩を睨み付けるが、相変わらずニヤニヤとしている。
「安心しろ悠斗、メンバー探しから何まで全て俺がサポートする。その後は自分がやりたいようにやってみな。元からいるメンバーの上にいきなり立つよりはずっとマシだよ。」
他のメンバーに聞こえないようそっと囁いてきた、山城先輩の話は一理ある、サポートしてくれるなら徹底的に甘えて俺が立ちあげてやろうと、悠斗は思った。
「説明は終わり!俺今からやることあるからさ、各自自己紹介とか諸々やっといて!」
山城先輩は一言告げると隅に並べられている両腕でダンボールを抱えて1階へ上がっていった。
「仁、あの新入りの子は大丈夫そうか?」
「大丈夫っすよ、俺がしっかり面倒見ますし。悠斗なら福岡の現状を変えられると信じまでいます。」
「無茶させんなよ、お前じゃ出来なかったんだから。」