妖怪
少し時が飛んで、累は強制的に島に連れて行かれた。そして累は島に着くと扉に先に入り、山の山頂にある神社から日が沈む所を少しの間見ながら、少し考え事をし、他の人が入ってくる前に一人山を降りた。途中、肩を叩かれ振り向くと目が一つで編笠の子供が驚かしてきたが、累は無反応の顔を見て子供は泣き出し何処かへ逃げていった。
「悪い事したな……」
今回は妖怪なのか、正直…… こんな所で会いたくなかった。河童に会いたいし、鎌鼬や座敷童も会いたいけど、擬きなんだよな…… 敵なんだよな。本物と会える事自体出来ないかもしれない、偽物でも妖怪と会うなんてこんな好機無いよ。
「いきなり分かれるのはダメじゃないかな?」
「お前は一人で大丈夫なのか?」
「まだ入ったばっかりだからね」
累が考え事をして立ち止まっているとファムが声を掛けてきたので考えるのをやめてニーナの事を聞くと、別行動だとファムが答えた。
正直、人を食う妖怪も居るみたいだけど戦いたく無いな。
少し歩くと木の近くに透けた男の霊がいた。累は見るなり頭を抱えて何やら後悔していた。
「ん? 人?」
「お供物なんて持ってねぇよ」
「あの幽霊に何かあげるの?」
「有るなら供えたい」
「じゃあ非常食の一つ供えてみるよ」
「見た目だけの擬きだったら即潰す」
「怖い事言うね」
お供物をすると少しため息をつき、ある方向を指差した。
「指差した方向へ行くか」
「罠かもよ」
「別に良い」
正直、山で山姥と会わなかっただけ相当運が良かった。 知ってる話だとほぼ不死身だし山姥って。 しかし木霊って、あんな感じなんだな。
「何か合ったら山に逃げ込めばどうにかなりそうだね」
「偶々恐ろしいのに会わなかったってだけだけどな、なぁお前の能力何だ? モノによっては今使って欲しいんだけど」
「幻を見せる事」
「じゃあ俺とおまえにかけてもらえるか?」
ファムは顔を一つ目に変えて、少し歩くと提灯が貯まっていた町の中に入っていった。
「そんなに居ないね」
「ソレはソレで寂しいな」
「あそこで話してるの何かは分かる?」
「女の人と、もう片方は青坊主か?」
着物を着た人と座っていながらその女を超える身長を持つ一つ目の青い坊主が何やら話をしている様だった。何を話しているのか気になり、二人聞き耳を立てた。
「人間が来たってよ、どうするよ?」
「怖いわぁ、アンタ行ってきなよ」
「バレてるみたいだね」
「殺すのは忍び無いと思って」
「お前も来いよ、頭だけでいいから」
「そんなモノでビビるかい? 首が飛ぶだけだよ、正直戦力になりやしないよ」
首が飛ぶって事は轆轤首?
女の人が手を招きながら累達に声を掛けてきた。
「ちょいとアンタら、この分からず屋説得してくれ」
「えっ 僕ら?」
「他に誰が居るってだい」
「人間と話し合うとかは考えない?」
「人間が話なんて聞いてくれる訳ないだろ、何言ってんだ。 悪い事言わないからそんな甘い考え捨てな。 もし人間に会っても話あおうとせず直ぐに逃げなよ」
「そう言えば、何の話でしたっけ?」
「悲しいけど、首が飛ぶだけの女が人間驚かせれる訳ないだろって話だ」
「儂は最初驚いたぞ、戦うんじゃなく脅かすだけだ、儂が指示したら驚かせば良い」
「無理だと言ってんのが分からないのかい」
「驚かせるだけなら充分過ぎると思う、人間頭だけ飛ぶ姿なんて見慣れてないし」
「そうだよな、兄ちゃんの言う通りだ、ソレで兄ちゃん達は多分逃げるんだよな、逃げるなら近くの嬢ちゃんと一緒に避難しててくれ」
「嬢ちゃん?」
「あぁ、恥ずかしがり屋なんだ、おーい、儂よりは全然怖くないぞ」
「いっつも逃げられてるもんね」
「うるさい」
擬きって言っても話通じるし、生きてるんだよな、もし和解が無理なら、俺は…… どうすれば
「来た来た、この子たちと一緒に逃げな」
「只の一つ目が童の姿した者が人間と戦うのは無茶だからな、怖いかもしれないが、我慢して待っててくれ」
ファムは軽く返事をしたのに対し累は少し引きずりった様な声で答えた。
ーー後書き
順番間違えたかも