第18話 なんか、エロいドレスを着せられたのですが?!
そう考え、ローゼマリアは大事なことに気がつく。
(いえ……なって
そんな考えでモヤモヤしていると、黒装束の男に力づくで、とある場所に連れて行かれてしまう。
「ここは……大劇場?」
城下町の一等地に立てられた荘厳な造りの大劇場は、毎夜歌劇や音楽会が開催されていた。
ローゼマリアも両親と一緒に、なんどもこの場所に訪れている。
(ここにジャファル様がいらっしゃるの? でも……黒装束の連中は、ジャファル様と無関係のような気がするのだけど……)
どこかで逃げ出したほうがいい。
そう考えたが、両脇を固められ、どうにもこうにも裏をかけそうにない。
黒装束の連中は、大劇場の正面玄関を通るわけでも、ロビーを抜けるわけでもなかった。
まっすぐと舞台裏へと向かい、控え室のような部屋にローゼマリアを放り込んでしまう。
待ち構えていたように、五人の女性がそこにいた。
同じような顔をした女性たちは、飛びかかるようにしてローゼマリアのドレスを脱がしにかかる。
「なにをするの?!」
「着替えさせるよう、命令されております」
「だ、誰に?」
「お答えする義務はございません」
薄汚れた牢獄で一晩中過ごしたせいか、ローゼマリアのドレスはドロドロに汚れていた。
だが顔見知りの侍女やメイドならいざ知らず、どこの誰かわからないひとたちに、それも理由もわからず着替えさせられるのは嫌である。
「ちょっと……やめ……離して!」
彼女たちは無表情のまま、やけに手慣れたようすでローゼマリアのドレスをはぎ取り、新しい服を強引に着せてくる。
「え? なに、この服……」
ローゼマリアは、これまで着用したことのないような服……と言っていいのかどうかわからないものを着せられた。
スパンコールやビーズがふんだんに縫いつけられた真っ赤なシフォンのドレスは、ともすれば身体のラインが出てしまうくらいに絶妙なスケスケ具合である。
胸は大きく開いて谷間がくっきりと見えてしまうし、袖もないので肩や二の腕が剥き出しだ。
裾も短めで、サイドにはスリットが入っていた。足を大きく踏み出せば、太ももが丸見えになってしまう。
頭からは、シャラシャラと音のなる飾りのたくさんついたヴェールをかぶせられた。
同じ飾り素材のついたショールで腰回りを覆われ、派手なチョーカーやブレスレットで身を飾りたてられる。
(なに、このドレスもどきは! なぜこんな色っぽいものを着せてくるの?)