ソードワールド
ホテルに戻り寝ようかと思った時、紙袋を見つけ思い出した。
今朝、明日菜の服を買った時一緒に買った人形だ。
アスナという子らしい。明日菜という名前はこの持ち主の女の子が名付けた名前なのか。
明日菜と違いアスナは14センチほどの小さな人形で分類はアクションフィギュアというらしい。
服も着せ替えでなくプラスチック一体整形。
髪の毛もプラスチックで成形されていてクシ使って梳かせない人形ををフィギュアと呼ぶらしい。
2.5等身のサイズは頭が明日菜と全く同じでも雰囲気が全然違う物だな、と思った。
白磁の鎧を着た女剣士。腰には細身の刀。
へぇ。中世ファンタジー世界かと思ったらVRゲームの世界の住人なのか。
ヒロイン、アスナの恋人がキリト。本名が桐谷和人、桐人でキリト。
箱絵を眺めてウィキペディアで検索しYouTubeでなんとなく世界観は掴んだ。
中国マフィアかぁ。
明日菜って中国語読みするとなんだろう?
ミン・リー・ツァイ?
あれ?
「吉澤さん、吉澤さん!まだ起きてますか?」
「寝てねえよ」
「殺された林一家の家族の名前教えてください」
「旦那が林秀人、奥さんが彩乃、娘が麗華だったかな。」
「中国人?」
「いや、日本人だ。リンさんじゃねぇ、ハ・ヤ・シ」
「娘さんがそのまま中国人っぽいんですよ!旦那さんも3文字、もちろん奥さんも」
「吉澤さん、明日戸籍調べてもらって旧姓調べてもらっていいですか?」
「戸籍なんて関係あるのか?」
「奥さんと娘さん惨殺されていたんですよね?ひょっとして犯人のターゲットは旦那じゃなくて奥さんの方だったんじゃないですか?」
「わかった。杉田に電話してくれ。」
「寝ちゃってませんか?」
「奴は起きてるよ」
起きてた。
☆
1時間後、電話が鳴った。
夜分すいません、ごめんなさい、と詫びるとやはり奥さんが林姓で旦那の旧姓は竹山だった。
どうやら婿養子だったらしい。
さらに奥さんも改名していて、もともと「彩麗」の名前だった。
更にその名の「林彩麗」の名で調べてもらう。
朝起きるとメールで結果が届けられていた。
中国マフィア 竹聯幇の日本支部ナンバー2、呉 のお抱え私設会計士。
パズルのピースが一つ嵌った気がする。