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警察葬

警察官が殉職すると公葬、警察葬が行われる。
吉澤の場合、今日の夕方から青山墓地の片隅にある青山葬儀所で開かれる事となった。

捜査一課に戻ると彼の机の上に明日菜を座らせる。

今朝も徐への取り調べが行われているが依然黙秘をつづけているらしい。
徐に対して吉澤の殺害、秋葉原での私への殺人未遂、二人の警官を襲った公務執行妨害、傷害、監禁など全て黙秘続けているらしかった。

科捜研のメモリーカードは現在、パスワードの解析に手間取っていると直接沢口さんから聞いた。

昼過ぎから遺族の方が葬儀所に行かれるというので杉田さんと共に会場に向かった。

会場には吉澤さんの奥さんと娘さんが既に到着していた。
なんて声をかければ良いのだろう。

悩んでいたら杉田さんが私に現場で吉澤さんが倒れていた目撃者である事、現場を見た時に犯人から襲われた被害者でもある事を説明してくれて助かった。

顔を出さずとも景色を見れるように紙袋にスリットをあけておいたんだけど、やっぱり家族に会ったら話したいのかな、なんか紙袋の中で呟いている吉澤が可哀想になった時

「パパ⁉︎そこにいるのパパなの?」

と私を指差して娘が言い出したのだ。

「美奈!」  袋の中から吉澤が答える。

「美奈、違うわよ、あの人はパパに最後に会った人で・・」と言いかける奥さん。

「違うの!あの紙袋の中から声がしたの!」と娘の美奈が言い出したのだ。

杉田さんと顔を見合わせると

「説明出来ますか?フォローは協力します」と私。
「わかりました。」

「奥さん、ゆっくり落ち着いて聞いてください・・」と杉田さんが語り始める。

私は紙袋の中からゆっくり人形を取り出して美奈ちゃんに手渡した。

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