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明日菜の家族

風呂から出て部屋に戻ると携帯を広げて崩れていた明日菜の姿があった。

ボタンを押すたびにまだ小さな女の子とその女の子を抱えて微笑む女性の姿。

「ご家族ですよね。」
「・・ああ。」

「おかしいだろう?今日仕事で泊まりになるから帰れないって電話しようとしたんだ。馬鹿だよな。」

・・・。

「俺、もう帰れないんだ。泣きたいだろ?泣くことも出来ないんだよなぁ。」

そういうと明日菜は俺と向き合った。
人形の顔は微笑みを湛えているが目がどこか悲しそうな気がする。

俺は声をかける事も出来なかった。


吉澤さん、まさか朝出る時はこんなことになるとは思わなかっただろうな。俺もかもしれないけど。

「明日、俺の身体は司法終わって戻されて葬儀の準備だろうな。」

「吉澤さん、俺吉澤さんの葬儀に出させてもらっていいですか?」

「いや、そこまで付き合わせる訳いかないよ。仕事はちょっと休んでもらうにしても」

あ、そうだ。明日朝会社に電話しないと。

「いや、絶対に行きます!明日朝一番に礼服取りに一旦戻ります。吉澤さんも行きますよね?」

「俺か?俺はいいよ。自分の葬式に出るなんて変だろ?」

「奥さんや娘さんに会える最後になるかもしれないですよ、絶対に行かないとダメです!」

「そういえば吉澤さん、この能力の事や仕事の事家族に話していたんですか?」

「警視庁で刑事をやってるのは知っているけどゼロ係のはなしはしてないな。」

つまり普通の警察官と思われてるのかな。
明日菜をあなたの旦那ですって伝えるのは難しそうだ。

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