科捜研の女のひと。
「え?本当ですか?」
「先程峯岸君が万世橋から届けてくれて解析に出したんだが解析以前にファイルが壊れていると。」
「吉澤さん、科捜研って何処ですか?」
「同じ六階だ」
「杉田さん、行きましょう!、というかお願いします。吉澤さんの声聞けるの杉田さんだけなんで。」
「わかった」
高梨は吉澤を連れて部屋を出た。
複雑な道順であったがすんなりと到着。
連絡をくれたのは沢口という妙齢の女性警察官だった。
「速いですね。」
「高梨さんが確認したい事があると言うので、ね。」
「高梨さん?」
「あ、紹介します。今回吉澤警部補殺人事件の目撃者で捜査協力して頂いている高梨さん。こちら・・」
「科捜研の沢口です、ドラマの沢口靖子さんと同姓です」
「よろしくお願いします」
「ところで、メモリーカードの壊れていたとか?」
「はい。色々試しては見たのですがカード異常しか出ないですね」
「写真も音楽データも出ません?」
カードアダプターに刺して繋いでみたりマイクロカードリーダー繋いだり色々やってくれたみたいだった。
「そんな筈は・・これ、僕のスマホのマイクロSDだったんで」
「えっ?」
「はい?」
「おい。」
三種三様の反応をもらった。
一つは沢口さんには聞こえないんだろうけど。
「靴下の中に仕舞われたカードは私のスマホ用ですよ。被疑者の手でその場で壊される可能性も有りましたから。」
そういうと手帳型スマホカバーの間からSDカードを取り出した。こちらの方がもちろん大きい。
「峯岸さん、現場のカード疑いなくそのまま持ってきてくれたんですね。何故か壊れてるけど。」
「おい、峯岸は何処にいる?」と吉澤が言うと杉田が携帯を手に取った。
「ちょっと待ってください!」と高梨がダイヤルを止めさせた。
「本物のカードの話は伏せてください!」
「沢口さん、こちらの解析をお願いします。」
「わかったわ」
「多分、峯岸は細川巡査長と一緒だと思います。」
「念のため内調に峯岸のこと調べてくれ。疑いたくはないが念のためだ」と吉澤。
杉田は静かにうなづいた。