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メモリーカード

「おかえりなさい、ヤマダの身元が割れました!」

万世橋警察署から本庁に戻った高梨たちの元に植村がやってきた。

当のヤマダも身柄を移送されて本庁に来ていた。
細川巡査長は引き続き万世橋警察署にて岸弁護士の調書作成を頼んでいた。岸自体は故意に人形を破損させた訳では無いし公務執行妨害ではもちろん起訴出来ないので徐との関係位を聞いて放免だろう。それでも数時間は勾留されるだろうけども。

軽犯罪法から窃盗罪に切り替わったおかげで指紋採集も出来るようになり、ヤマダと名乗る人間が徐と言う名の中国人とわかった。

前科8犯、殺人、傷害、強盗、窃盗など様々な犯罪を重ねて5年前に一度国外退去まで受けている。

中国で竹聯幇というマフィアに所属しヒットマンをしていた男だった。竹聯幇(ちくれんほう)とは元々台湾出身のマフィアで中国本土はもとより世界中に、それこそ日本にも広がった強大な組織だ。中華統一を目指して台湾よりというよらは中国共産党よりな活動をしている。日本国内でも様々な活動をしている。

しかし何故国外追放までされた男が日本に再び戻っているとは。

更に明日菜の服に付着した指紋が徐の指紋と一致し動かぬ証拠となった事、所持していた秋葉原駅のコインロッカーから徐が吉澤を刺したナイフと中国製の消音拳銃が出てきたのだ。

「まずは吉澤警部補の殺人事件と高梨さんへの殺人未遂事件は解決しそうですね。」とコーヒーを高梨に差し出しながら植村が告げた。

「ありがとうございます。吉澤さんが消えてしまう前に解決出来そうですね。」

「いやまだだ、肝心の林一家殺害事件がまだ何も解決していない」

「SDカードの情報が突破口ですね」

「多分な。というか今はそれだけが頼りだ」

その時、電話が鳴った。
杉田が受話器を取る。

「はい、捜査一課 杉田。何?わかった伝えておく。ありがとう」

杉田の表情が陰った。

「科捜研に届けられたメモリーカード、データが壊れていて読み出せなかったらしい。残念だ。」

重い沈黙が流れた。

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