ユウワク。
コンコンッ
取調室のドアを叩き入ってきたのは杉田だった。
「取り調べ中失礼。警視庁捜査一課の杉田と言います。そしてこちらが・・・」
そう言いかけて手にした人形をヤマダの目の前に置いて話を続けた。
「同じく吉澤警部補。」
「はあ?ふざけるなよ、リカちゃんだかジェニーちゃんだか人形じゃねぇか!」
別室の植村は別室のマジックミラー越しにヤマダの一挙一動を逃すまいと食い入るように見ている。
このヤマダという男が吉澤警部補、もといアスナ人形に関係があれば、何かしらの反応がある筈、と読んだのだ。
「お前、この人形に見覚えないか?まあいい、今から吉澤刑事補が聴取を行う。」
「それより、弁護士はどうした!もう来てるんだろう?弁護士立ち会いじゃないと何も話さねえ!」
「じゃあ呼んできてやろう。大人しくしてろよ」
そう言い残すと杉田は退室した。
部屋にはヤマダと吉澤だけだ。
杉田が完全に居なくなるのを確認するとヤマダは吉澤に手を伸ばして人形の頭を開いた。
中にはSDカード。
そそくさと人形に頭を元に戻すとSDカードを靴下に仕舞い込んだ。
『バッチリ撮れたか?』と吉澤。
『ええ、もうバッチリと』と隣室でビデオカメラ回していた細川が微笑んだ。