残存思念
この辺でおもちゃ屋・・トイザらスとか?
スマホで検索するもお台場か池袋しかない。
「意外と都内でもそんなに無いんだな」
『そりゃそうだ、必要に感じた事今まで無いからな。めし屋ならともかく』
あとは・・・なんだ、玩具店で探すか。
新橋にトイパーク、東京駅にボーネルンドがあるか。どちらに行けばいいのか・・・
両方とも馴染み無い名前だ。更にググったら新橋のトイパークとか昔の博品館らしい。博品館なら知ってる、色々なゲームとか売っていた覚えがある。
ホームページ観るとリカちゃん人形の特集をしていた。ここならありそうだ。
「よし、新橋に行こう。」
『じゃあ電車な。』
「なんだ、クルマ出ないの?」
『都内は電車の方が速い』
「ところであんたの事はなんて呼んだらいい?」
『吉澤じゃだめか?』
『明日菜って呼んで!』
はもった?
『なんか前の娘の希望が出てきたらしい』
「どちらでも構わないけど、中味と外見にギャップがあるじゃん。一応統一した方が良いかな、と。」
『まあ、そうだな。』
『じゃあ』
『吉澤』『あすな』
「・・オッケー、吉澤あすなちゃんね。」
『ちゃん、じゃなくて さんにしてくれ!』
「それより、被害者の娘さんの人形に残った残留思念を読み取るのではなく、あんたが直接乗り移って記憶の上書きをしてしまった訳だけど、直接乗り込んでみて有力な新しい情報とかわかったの?」
『それが・・よくわからないんだ。外からの読み取りより中から見ているわけだからもっと記憶が残ってると思ったんだけど・・・』
「だけど?」
『抽象的な記憶の断片しかやはりなくて』
「わからない?」
『亡くなる最後の最後の瞬間まで可愛がっていた人形だからもう少し手掛かりあると思ったんだけど・・』
そう言いかけると、吉澤は頭を抱えて蹲った。
『う、うっ頭の中に何かが・・・』
「だ、大丈夫?吉澤さんが入ったから?」
『う・・違う・・・待って!』
『だ、駄目だ。・・・消えてしまった。被害者の残留思念が・・・タイムアウトには・・まだ早いのに』
「つまり、娘の思念はもう・・」
『おそらく呼び出せない』
「そう・・・・」
俺の所為なのか?もしあの時俺が人形に触れてなかったら、或いはあの道を通ってなかったら・・・
『よせよ、考えるだけ無駄だ。それなら俺は無駄死に、遺体も見つからずに朽ちるだけだったかもしれない。』
『高梨さん、俺はあんたには感謝している。あんたには悪いけどもう暫くつきあってくれ、頼む。』
「まずは新橋行ってみようか」