サンダードラゴンとの闘い
3Fの終わりにはボスらしき生き物が立っていた。こいつを撃破すれば、電流コースは終わりになるのかな。命がけの冒険はようやく幕を閉じることになる。
クスリはHPを回復させると同時に、身に着けたスキルを確認する。アクセサリーには「敵からの電流攻撃の威力を半減させる」と書かれていた。電流ゾーンではおおいに頼りになるスキルといえそうだ。
ボスに触れると戦闘画面に切り替わることとなった。
「サンダードラゴンが現れた」
テレビでよく見るドラゴンが電流をまとっている。
クスリは「こうげき」コマンドを選択した。
「サンダードラゴンに200のダメージを与えた」
ボスの耐久力次第では、簡単に撃破できそうだ。防御力については電流ゾーンの雑魚と大差ない。
サンダードラゴンは高圧電流を、プレイヤーめがけて飛ばしてきた。クスリは感電死するのではないかというくらいの強い衝撃を受けた。
クスリは220のダメージを受けることとなった。ダメージを半減させているにもかかわらず、HPの40パーセントを一発で持っていかれた。スキルを所持していなかったら、まともに戦うことすらできなかった。(宝箱を無視したことが響いているのをプレイヤーは全く認知していない。これがあれば楽勝でボスを倒せていた)
2つ目のコースとあって、「プレゼンチャー」よりも格段に強くなっていると思われる。あれよりも強化されていれば、ここで魂を抜かれることになる。
「まほうぼうぎょリング」を準備しなかったのは痛恨だ。あれをつけておけば、ダメージを100くらいは減らせたと思われる。物理攻撃に意識を取られて、魔法耐性への意識はおろそかになっていた。
クスリは二発目の攻撃を喰らわせる。
「サンダードラゴンに190のダメージを与えた」
チマチマと削っていけば、最終的には撃破できるはず。HPは無限でない限り、いずれかは尽きることとなる。
「サンダードラゴン」は空から降ってくる電流を、体内に蓄積させていた。
「サンダードラゴンはパワーを蓄えている」
溜め攻撃をまともに受けるわけにはいかない。クスリは「ぼうぎょ」コマンドを選択することにした。
「サンダードラゴン」は攻撃せず、さらにエネルギーを増幅させていた。
「サンダードラゴンはさらにパワーをためた」
クスリは一瞬の迷いもなく、「ぼうぎょ」を選択する。溜め攻撃を終えるまでは、コマンドを選んでいけばいい。
「サンダードラゴン」は再びエネルギーを増幅させる。どれくらいの力をためて、戦闘を仕掛けてくるのだろうか。
クスリの脳裏にある考えがよぎった。プレイヤーが「ぼうぎょ」を選択した場合、「サンダードラゴン」は攻撃を仕掛けてこないよう、プログラムされているのかもしれない。
力を蓄えるほど、攻撃力は上がってしまう。HPを満タンにして、敵の攻撃を受けることにした。
プレイヤーが「ドラッグ」を使用した直後だった。「サンダードラゴン」は体内に蓄えたエネルギーを一気に放出してきた。
クスリは大ダメージを覚悟していたものの、どういうわけか防御壁が出現した。「ぼうぎょ」のコマンドを選んでいないので、バグなのかなと思ってしまった。
「クスリはダメージを受けなかった」
不具合とはいえ、敵の攻撃を回避できたことはラッキーだ。迎撃態勢を整えることにした。
「こうげき」と「アイテム」を繰り返していくうちに、HPを500回復させるための「ドラッグ」の数はどんどん減っていった。残りは5個まで減らされていた。
二つ目のステージのボスなのに、耐久力は高すぎやしないか。攻撃を30発以上当てているのに、撃破に至っていない
31発目の「こうげき」を加える。
「サンダードラゴンに200のダメージを与えた」
10000近くのダメージを与えたのに、ドラゴンはまだ生きている。クスリはボスのあまりの強さに、骨が折れかけていた。
「サンダードラゴン」は気合を入れたのか、大量の電流を飛ばしてきた。
「クスリは260のダメージを受けた」
瀕死状態になったので、「ドラッグ」でHPを回復。所持数は残り4個となった。
次のサンダードラゴンの攻撃は運よく回避できた。次の戦闘でボスを必ず倒してやる。
クスリは彼女に再会できることを信じ、剣を振り下ろすことにした。
「サンダードラゴンに1000ポイントのダメージを与えた。サンダードラゴンを倒した」
悪夢のようなコースがようやく幕を閉じようとしていた。クスリはようやく休めると思うと、全身の力は完全に抜けることとなった。