51話〜城の地下の秘密の部屋
ここはシェイナルズ城の地下にある秘密の部屋。
辺りには何もなく広いだけで、岩壁に小さなランプが鉄の扉の両脇に1つずつ取り付けてあるだけだった。
そこに、ジェシカとレフィカルはブラットを拉致し連れて来ていた。
ジェシカとレフィカルは皇帝マグドが来るのを待った。
しかし、待っていてもなかなか来ない為、ジェシカはイライラし始め、
「何のつもり!?マグド、こんなに待たせるなんて……」
「それにしても、こんなに待たすのは、何か変じゃないか?」
「確かにいくら急用が出来たとしても……」
話をしていると部屋の鍵が、ガチャ!っと、かけられた音がした。
ジェシカとレフィカルは、その音を聞き慌てて扉の方に行き、
「こ、これは、マグド何のつもり?」
「ジェシカ。早くここを出ないと、不味いんじゃないのか!」
「確かに、ただ鍵をかけるとも思えないしね。でも、どうやってここを出たら?」
「でも、あいつは、何でこうも人が変わったみたいに。いや、それとも周りの連中のせいなのか」
「確かに、あのマグドが、かつての仲間を裏切り、こうも簡単に人が変わってしまうなんて、何を考えていると言うの……」
ジェシカとレフィカルは拘束され眠っているブラットの方に行き。
ジェシカはブラットを覗き込み、
「それにしても、よく寝てるね。こう見るとますます、ガルドの子供にはどうしても見えない。余りにも、童顔と言うか、やはりカトレアに似たのかな?」
レフィカルもブラットを覗き込み、
「そう言えばそうだな。確か、カトレアは魔族だったよな?」
「ああ、そうだった筈だけど。なるほど、そういう事か!こいつが童顔なのは、魔族は何年も生き歳も……ん?ちょっと待て!ブラットは、そうなると人間と魔族の間に出来たって、事は、ハーフでもあるけど……」
「こいつは、魔族と人間のハーフ。それだけでも普通じゃない。だからガルドは、人間として普通に生きて欲しいと願い戦い方を教えなかったのか?」
「でも、こいつの運命は……だけど、いくら戦い方を教えなかったにしても、おかしい?やはり誰かが、ブラット自身に何らかの呪いをかけたとしか思えないが……」
話をしていると、この部屋に何処からか魔法がかけられた事にレフィカルは気がつき、
「ジェシカ!!」
「レフィカル!?これは催眠魔法か?何かしかけて来るとは思っていたけど……く、眠くな……て……」
と最後まで言う前に眠ってしまった。
「……ジェシカ!?ク、クソォ〜!!覚えてろ……よ……マグド……」
レフィカルも眠ってしまった。
扉の外にはレオルドがいて中の様子を伺っていた。
そう、その催眠魔法を部屋全体にかけたのはレオルドだった。
そしてレオルドは、2人が眠った事を確認するとマグドに伝えに行ったのだった…。